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今回の任務は、長らく途絶えていた地下世界、「グラウンド」の生命反応調査だった。

おんりーは、古代の魔獣の痕跡を追って、単独でグラウンドに降下した。

しかし、グラウンドは彼が想像していた以上に地形が荒く、危険に満ちていた。

そして、突如闇から現れた巨大な魔獣の襲撃。魔獣の予測不能な動きと、グラウンド特有の濃密な魔力に阻まれ、乗っていた単体降下機は大破。

意識を失い、おんりーは地下深くの、冷たい土の上へと投げ出された。



どれほど時間が経ったのだろうか。おんりーの意識が朦朧とする中、微かな光と、柔らかい感触が彼の頬を撫でた。

「わぁ…壊れちゃったの?大丈夫?」

澄んだ、少し気の抜けたような声が耳に届く。ゆっくりと瞼を開くと、おんりーの視界に飛び込んできたのは、鮮やかなピンク色の髪を揺らす少女の顔だった。

彼女はかがみこみ、おんりーの乗っていた壊れた機体に触れようとした。

その瞬間、少女の指先から淡い光がこぼれ、機体の一部がみるみる青い結晶へと変化していく。

そして、その結晶がおんりーの身体へと吸い込まれていくのを感じた。

鈍っていた痛みが、嘘のように引いていく。

「…⁉︎何をした?」

声にならない唸り声をあげ、おんりーは身体を起こした。彼の目の前には、ぱちくりと目を輝かせ、困ったように首を傾ける少女___おら子がいた。

「えっと…この機体、すごく傷ついてたから、思わず。そしたら、なんだかキラキラ光って、あなたの体に入っていっちゃったの。ごめんなさい、壊れちゃった?」

おら子は、悪びる様子もなく、むしろ不思議そうに自分の指先を見つめている。

アストラルではありえない現象、そしてこの無自覚な振る舞い。

彼女はグラウンドに住む「未開の民」であることは一目瞭然だ。

おんりーは警戒を露わにするが、おら子はにこりと笑った。

「ねぇ、あなたの名前は?私は、おら子!」

「…おんりー。」

「おんりー!よろしくね!怪我してたみたいだけど、もう大丈夫?私が助けたの!」


助けた?このわけのわからない力で?

おんりーは内心で苛立ちを感じた。アストラル人としてのプライドと、長年教え込まれたグラウンドへの警戒心が、彼の心の中で波のように押し寄せた。

しかし、アストラルへの帰還手段は失われ、未だ身体の完全な回復には時間を要する。

それに、この少女の不可解な能力。

調査対象としは、これ以上にない「サンプル」だ。

おんりーは無言で立ち上がり、大破した降下機を一瞥した。「仕方ない」と小さく呟き、おら子に背を向けた。

「ちょっと!どこいくの?おんりー!」

このままコイツといたらさっきみたいにわけのわからない魔法を使われるかもしれない…とにかく今はアストラルへの帰還方法を見つけなければ

「待って!そっちには魔獣たちの住処があるの…」

おんりーは足を止めた。

確かに魔力の霧が濃く、魔獣の独特な気配を感じる。

「私の集落に行こうよ!きっとみんなも喜ぶよ!」

「………。」

結局、おんりーは未開の民らが住む集落に行くことになった。

おんりーの心には不安な気持ちしかなかった。

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