シガンシナ区陥落の翌年、846年。
食糧難を防ぐために中央政府は、シガンシナ区奪還を名目に、大量の避難民を作戦に投入した。
その最前線に立たされた調査兵団は、無謀すぎる作戦によって、優秀な兵士を数多く失った。
私の好きだった人も。
私よりずっと実力があって、強く優しい彼は、部下を庇って死んだ。
〜〜〜〜〜
バンッ!
ドアが開く音で目が覚めた。
「アイラーーー!!」
「……いやノックしてよ!?」
全く、朝から叫ばせないでほしい。
「ごめんごめ〜ん」
「絶対思ってないでしょ」
私は呆れて言う。
どうやら夢を見ていたらしい。
私の目の前にいるのはハンジ・ゾエ、 訓練兵時代からの私の親友だ。
私と同じで分隊長を務めている。
強いし優しいし、頭もいい。美人だし明るくて笑顔が可愛くて……いや、これ以上はやめておこう。
ハンジへの愛を語り出したら丸一日はかかるからね。
とにかく彼女は私の大好きな親友で、同じ研究者同士だから気が合う。
「ねえ、アイラ聞いてる?」
「え?」
全然聞いていなかった。
「ごめん聞いてなかった、なに?」
「今日の午後から実験しようって話!」
「もちろんいいよ!」
「やったー!」
「まあ、その前に書類作業ね」
「え?」
「え?ほら、今日提出締め切りの、研究の報告書」
「うっそ今日だっけ!?」
「いや、うん、今日よ」
「嘘だろぉぉ!?今日は午前中丸々巨人について語ろうと思ってたのに!」
「いやそれ絶対午前中じゃ終わらないでしょ。あとでいくらでも聞くから、書類優先ね」
「はぁーい」
すっごい面倒くさそうだな…。
「全く、一緒にやるから。持ってきて」
「……」
「ハンジ?」
「書類、どこやったっけ」
「嘘でしょ?」
〜〜〜〜〜
親友の部屋のドアを開けると、見慣れた光景が広がっていた。
「相変わらずきったない部屋だな…」
「うるさいなぁ!私にとってはこれが1番快適な配置なの!」
「いや、私が掃除したの3日前なんですけど。というか、この部屋からどうやって一枚の紙を見つけ出せと?」
「いやぁ、ごめんごめん」
「だから絶対思ってないでしょ」
「あった!これだ!」
「うわぁぁありがとう!!」
結局5時間かかった。
この部屋はジャングルすぎる。今までに何回片付けてきたことか。
ふと時計を見る。
「うわ、これ実験できないね、今日」
「すごい時間経っちゃったな…」
そのとき、部屋のドアをノックする音がした。
「はーい!」
「失礼します。やっぱりここにいたんですね、アイラさん。これ、団長からです」
顔を出したのは、私の分隊の副長、レスター・フォルツ。
そしてその手に持っているのは。
「ねえほんとに勘弁…」
全く。どれだけ書類作業すればいいんだ!
しかも次の壁外調査の巨人捕獲の予算案。
また仕事増えたんですけど。
「次の壁外調査終わったら新兵も入ってくるし、巨人捕獲するなら今のうちかなぁ」
「え!もうそんな時期?次の新兵何期だっけ?」
「104期だね」
「もうそんなに経ったの?」
「早いよねぇ。じゃなくて終わらせるよハンジ」
「えーーーー」
私は笑いながらペンを手に取る。
相変わらず、私たちにはやることが山積みみたいだ。
〜〜〜〜〜
一旦切ります!
今回も見ていただきありがとうございます!
のろのろ更新ですがこれからもよろしくお願いします!
チャットノベル版も投稿中なので(一回消したんですが復活しました)、よければぜひそちらも読んでください〜
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!