学祭初日の打上げと言えば、駅前の小道にある居酒屋の、畳敷きの大広間と決まっている。例年通りのことだ。
しかし今年は、例年にない雰囲気に覆われている。
卓をはじめとした三、四年生の多くは、縦長テーブルの上座、向こうの一端に集まっている。一、二年生で向こうにいるのは、英治など運営に関わった者に限られる。彼らに会話はなく、瓶ビールとグラスが接する音がときより聴こえる。
対照的に、俺のいるこちらの端には一・二年生のほとんどが集まり、盛り上がっている。
「商業音楽なんて、ぶっ潰しちゃいましょー」とか「ミューズって、儲かってるからって、調子に乗りすぎてますよね」とか、「ロック復活、サイコー」と叫びまくっているヤツもいる。弘子も、こちらサイドにいる。
今日の事情をまるで知らない、あとからやってきたOB連中は、テーブル中央辺りにできた空間に納まっている。静まり返った上座に分け入り、「俺らの頃は、上級生から先導を切ってたもんだ。遊べるのは今のうちだぞ。社会人になるとな、」と、くどくど絡んでいる者もいる。
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