「じゃあ僕の家に来る?」
「え、うい…?」
ういが一瞬何を言ってるのか理解するのに時間を使った
私はあの時カウルの家へ行って酷いことをされた。
少し怖いけど、行こうかな…そうこう考えている内にういがもう一度同じ言葉を投げかけた。
「んで僕の家_」
「…くよ」
「え?」
「…行くよ、行かせて」
「分かった。あっちだよ」
優しく微笑んでそう言うういに安心をした。
あの時のカウルのように不気味な裏のある笑みは無かった_
歩いて数十分ぐらいの先にぽつんと豪華な家があり
私はそこへ案内された。
「ここが僕の家。…男の家に入るのは怖いかもだけど
この家に家政婦がいるから何かあったら家政婦に言うといいよ。」
「…ありがとう」私らしくないありがとうを伝えた時彼はニッコリと優しく笑った。
家に入り長い廊下を歩いた後奥へと案内されコトっと丁寧に
和菓子、お茶、を家政婦さんは置く。
「ありがとうございます。」
「僕2人で暮らしてるんだ。家政婦と僕。2人で暮らすにはあまりにも広すぎて、部屋なんか余るほどあるよ。好きな部屋を選んで。
そこがキミの部屋。」
目にはハイライトを無くし淡々と言う彼。
「…わかった」
お茶、和菓子を頂きういに案内される。私も突然家に帰りたくないなんて言って泊めてもらえる暖かい部屋、ちゃんとベッドがある、私は手ぶらなわけで自分の服さえ持ってない_どうしよ、
「服は僕の元恋人が遺した服があるからそれ使って。サイズが合わなかったら僕に言って。」
「ありがとう」
『 冷たい手 ういside 』
「僕の部屋は君の隣。何かあったら言って」
僕はそう言い自室へと向かう。
突然腕を掴まれた。
「…どうしたの?」
「ご、ごめん。なんか私捨てられるような気がして」
そういう彼女の目は不安で溢れていた。
「僕も家政婦もキミが思っている人じゃない。捨てないよ」
「そっか…良かった。ごめんね」
おやすみと言葉を続けて扉を閉めた。
あんな言葉で良かったのだろうか、本当に僕に助けられるのだろうか、そもそも彼女の詳しい事情を知らないのに助けようとするなんて変じゃないのか?
そう考えながら勉強する気が失せた僕は目を閉じた。