テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
(美味しそうな食事を食べられないのは残念だが今のうちに情報を聞き出そう)
お酒に弱そうな人から積極的に注ぐことにした。すると側室の護衛の一人がお酒に弱い事が分かった。
栞「盃空ですね、もう1杯どうですか?」
護衛「いや〜もういいよ〜 ヒック」
栞「せっかくの宴会です。もっと飲みましょう。ね!!」
護衛「んー、でもな〜 ヒック 」
なかなか飲んでくれない様子にどうしようかと考えた私はひと芝居打つことにした。
栞「私の注ぐお酒はお嫌いですか……グス」
護衛「あぁ〜泣かないでくれ。そうじゃないんだ。飲む、飲むよ〜 ヒック 」
男は女の涙には弱いと言うが本当らしい。
ちなみにこの泣き演技は咲さんが話しているのを聞いて習得したものだ。
そろそろ呂律が回り始めてきた。今がその時だろう。
栞「護衛の仕事って大変そうですね。私で良ければ愚痴聞きますよ」
護衛「ほんろかい〜ヒック
上司なんて絶対おれのこと認めてくれないんら〜ヒック
逃げ出したいくらいだよまったくよ〜 ヒック」
栞「分かりますその気持ち!ここから逃げることが可能だったらなぁーなんて、出来るわけないかー(笑) 」
護衛「出来るよ」
栞「……?!それはどうやって?」
護衛「ちょいと耳を貸しな……
俺はいつもこの方法で外に出てるよ ヒック
お嬢ちゃんには特別らよ〜 ヒック」
栞「ありがとうございます」
護衛の1人から教えて貰った脱出方法は
①1番大きな蔵の中に裏口の鍵があり、それを取りに行く。
②蔵を出て左に進めば小さな祠が置いてある。その祠の後ろに獣道があり、進んで行くと裏口に着く。
③裏口を出ると近くに馬小屋がある。その馬で城の領域から出る。
(この方法が上手くいくかは分からないけど、今まで練ってきた作戦よりかは簡単に脱出できそう)
とりあえずここから出ないことには始まらない。
皆酔っている為私が大広間から出たことに気づかない。
栞「上手くいった!」
そのまま隣の部屋に入り、羽織を脱いだ。
少し寒いが暗闇でも目立たない為薄着で行動する。
外へ出ようとしたところ、旗本の1人が通りかかり危うく見つかるところだった。
(危なかった~~~!!)
通り過ぎたのを確認し縁側の下に潜り進んで行く。
すると、蔵への道を見つけた。
道を進み大きな蔵の入口まで辿り着いた。しかし、蔵の鍵を持っていない為中へは入れない。
栞「何かいい方法は……」
ふと、ある事に気付く。この蔵には小さな窓が付いており1人分くらいなら入れそうだった。
必死に窓までよじ登った。
ガンッ ガンッ バキッ
幸い窓は古い木の格子でできていた為簡単に壊すことが出来た。
中に入り鍵を探す。中には特産品や金以外に武器や衣類なども置いてあった。
念の為使えそうな武器と身を隠す為の服も入手した。
栞「鍵は何処に…暗くて見えずらい」
月の明かりだけを頼りに動くことしか出来ず苦戦していた。
ガタッ
視界が悪く壁に当たってしまいその衝撃で何かが落ちる音がした。
月明かりを頼りに探すと鍵が落ちていた。
栞「これが裏口の鍵?」
他にも鍵を探してみたがこの鍵以外見つからなかった。
どうやらこれが裏口の鍵らしい。
壊した窓から外へ出て左に行くと祠が見えた。
栞「この祠の後ろに確か………あった!獣道!!」
獣道は小さい為、匍匐前進で進んで行く。
ようやく裏口に辿り着き鍵を開けると近くに馬小屋があった。
栞「ようやく帰れる…」
馬小屋に行こうとした瞬間腕を捕まれた。
振り返ると総悟さんだった。
#ファンタジー
なつみかん
#記憶喪失
総悟「お前が不審な動きをしていたから気になってついて来た。まさか城から出るとはな」
何で気付かなかったんだろう。
総悟さんの勘が鋭い事ぐらい分かってた筈なのに脱出のことで頭いっぱいで忘れていた。
栞「あなたに私をここから出す権利は無い筈。離してください」
総悟「そんな権利俺には無い。だが、ここから出せずとも止めることは出来る」
栞「私は早く帰りたいだけなんです。だから……だから、邪魔しないで下さい!!」
護身用に懐に忍ばせていた短刀を振るう。
総悟さんが腕を離した隙を見て馬小屋から馬を連れ出した。
総悟「待て栞!」
栞「来ないで下さい!もし来たら今度こそ外しませんよ…」
総悟「ハァ━、分かった。なら俺も行く」
栞「は?!信用出来るわけ無いじゃないですか!」
総悟「信用されなくて結構。それにお前故郷までの道のり分かんのかよ」
栞「………。」
総悟「ほらな 、行くぞ。
本当に信用出来ないなら俺を殺せ」
簡単には信用出来ないがそれでも信じて見ることにした。
栞「私は後ろに乗ります。何かあればすぐに刺しますから」
総悟「勝手にしろ」
才川城を出て走っていると橋が見えた。
どうやらあそこから外は才川城の領域外らしい。
(これでやっと帰れるだ…)
私の唯一の味方である帰蝶さんには置き手紙を残してきた。
今頃、見ているだろうか。
空にはあの頃と同じような満点の星空が広がっていた。