「でも僕がこの島と関わりがあるんだったら、何かやらないといけないこととかあるんですよね…?でも、僕はそれが分からないんです…。」
他の人とは違う何か特別な存在だと少年は理解したが、自分がこの存在である意味や使命が分からなかった。
「いや、君は特に何もしなくていい、いつも通りの生活で良いんだ。…しかし、今の君は外の世界に出られない。」
「そうですか…。」
『大日本帝国』の言葉を聞いて、少年は昔を思い出した。昔、少年は島から出ようとしたことがあった。
島に駐屯しているとある日本の軍人から日本や世界の話を聞いていた少年は、外の世界に憧れていた。そして、島から出ようとしてこっそり日本行きの船に乗ったが、島から出た途端に全身に激痛が走り、倒れてしまったことがあったからだ。
「しかし、我々がアジアやオセアニアの国々を欧米の支配から除くことができれば…」
『大日本帝国』が話している途中、遠くから『大日本帝国』を呼ぶ声があった。彼らはもうこの島から離れてしまうらしい。
『大日本帝国』がこの場から離れてしまう前に少年は別れの挨拶をした。
「あの…色々ありがとうございました。また会えることを願います。」
「ふふ、そうかい…。またいつか会おう、『パラオ』。」
『大日本帝国』は少年を『パラオ』と呼びその場を離れた。
少年が『パラオ』と自覚し始めた瞬間であった。
続