青「大丈夫。うるみやは悪くないよ。」
橙「……..」
青「大丈夫。大丈夫だからね。」
両親が死んだ。交通事故だった。
俺が父さんと喧嘩して、母さんは俺が一人になれるように父さんを連れて買い物に行ってくれた。
その帰りに事故にあった。
両親が死んだのはうるみやのせいだ。
俺が些細なことで父さんと喧嘩していなければ、俺が一人にして欲しいなんて言わなければ、
俺がこんなところに生まれたくなかったなんて言わなければ
両親が事故にあうことなんてなかっただろうに。
橙「しゃるごめん。ありがとう。」
橙「こんなことに巻き込んでごめん」
青「大丈夫。うるみやが辛いときは俺がそばにいるよ。」
橙「ありがとう。しゃる。」
俺は両親が大好きだった。大好きだったはずなのに涙が出ない。
泣けなくてごめんなさい。
最後までこんな親不孝者でごめんなさい。
警察「ご遺族の方ですか?」
橙「はい。」
警察「ご愁傷さまでした。」
警察「失礼ですが、お隣の方は?」
青「友人です」
警察「今からお話するのはご家族の方だけd」
橙「家族ぐるみで仲が良かったのでしゃるも同伴でお願いします。」
警察「そうですか。失礼しました。」
警察「こちら事故にあったときのお荷物でございます。」
橙「これ….」
両親が買っていたのは俺が好きなエビフライのための材料と、ずっとほしいと言っていた、ずっとみんなでやりたいと言っていたゲームのカセット。
橙「家族みんなおらな意味ないやん…..w」
パーティーゲームなんだから。俺一人だけ残っていても意味がない。
警察「今回の事故の原因は居眠り運転をしていたトラックが反対車線からはみ出ていて、そのままご両親の車に…」
橙「そうですか….」
両親が死んだ、と言われて霊安室でみた人の顔が両親かどうかもわからなくなっていたのはトラックが突っ込んだからだったのか。
遺体の顔が分からなかったから涙が出ないのかもしれない。きっとそうだ。
警察「もっと詳しい話はまた後にしますので….」
橙「そうですか。」
橙「ありがとうございました」
警察「では、失礼します。」
警察の方がでていって部屋には俺としゃるだけになった。
いつもは回るはずの口が、開くのも億劫になって
青「うるみやはこれからどうするの?」
橙「え?」
青「俺たちはもう高校生だけど、お金とか、まだ稼げないじゃん?」
橙「せやなぁ….」
青「親戚のお家とかいっちゃうの?」
橙「親戚…..」
親戚の家は行きたくない。
迷惑かけたくないのと、あまりあったことがないほぼ他人と生活できるわけがない。
それに、一番近い親戚でも隣の県で転校は避けられないから。
青「ごめん。」
青「あれこれいっぱいなのに更に考えること追加させちゃって」
橙「大丈夫。いつかは考えなきゃいけないことやったし」
窓の外を眺めながらしゃると話していると6時の町内放送が流れた。
いつも家でイヤホンを付けてスマホを使っているから町内放送なんて聞いたのは何年ぶりだろう。
懐かしいな。父さんと一緒に公園に行ったとき6時のチャイムで強制的に帰らされたっけ。
橙「そろそろ帰らなあかんなぁ….」
青「あのさ、」
青「うちにこない?」
橙「え?」