橙「は、え…」
橙「一緒に住むって…」
青「そのまんまだよ」
橙「学校も変わってまうし…」
青「どこいくにしても学校は変わっちゃうんじゃないの?」
橙「確かにせやけど…」
青「うるみやは俺と住むの嫌?」
橙「嫌やない……」
青「じゃあ一緒に住もう?」
橙「俺お金ないで?」
放送「面会終了のお時間です」
青「とりあえず帰ろっか?」
青「俺もついていってあげるから」
橙「着いてこなくてええよw」
青「いいから」
言いくるめられてしまった。
何故か俺の家についてくることになっていたし、しゃるの家に行くことになってしまったし。
鼻歌を歌いながら着いてくるくせに話しかけてこないから、家に行くまでは俺達の間に会話はなかった。
橙「ただいま」
青「おじゃまします」
青「うるみやの家はにぎやかでいいね」
橙「今は俺1人しかおらんし」
青「ごめん」
橙「気にしてへんわ」
なんだかしゃると向かい合ってるのは気まずくて目をそらすと壁にかけてあった家族の写真が目に入った。
大好きだった両親の優しい笑顔に目がいってなにかが心の中を渦巻いていたたまれなくなった。
嫌いじゃない。大好きなのに。
もうその笑顔を目を合わせたくなくて走って自分の部屋に向かった。
青「うるみや?」
急に走り出した俺をしゃるは怪訝そうな顔で見ていた。
橙「はぁッ…はぁッ…」
青「はいるよ」
青「大丈夫?」
青「やっぱり俺が着いてきたほうが良かったでしょ?」
橙「ごめん」
青「大丈夫、大丈夫だからね」
橙「なぁしゃる」
青「なに?」
自分の中のこの気持ちをなんと表現したらいいのか分からなくて、
喉の奥で何かがつっかえて、なにも言えなかった。
青「ほら荷物まとめて」
青「さっさと家行こう?」
橙「うん」
橙「ありがとう」
青「だいじょーぶw」
しゃるの実家はうちから近いけどしゃるの家は電車を何本か乗り継いで行かなきゃいけなかった。
その間も俺たちの間に会話はなかった。
青「ただいま〜」
橙「お邪魔します」
青「いらっしゃい」
しゃるの家に行くと俺んちとは違う温かさがあった。
うちはあんまり生活感なかったけど、しゃるの家は家庭感があった。
青「来るときにさ、電話あったじゃん?」
橙「うん」
青「そんときさ、母さんから連絡あって」
青「そのうち俺のところ来てくれるって」
青「うるみやの両親から預かってる物があるって」
橙「なんやそれ…」
青「まぁ、今日は家でゆっくりしていって」
橙「ありがとな」
青「夕飯なんか食べたいものある?」
橙「それ言われても困るんよなぁ…」
青「うーん……」
青「献立ルーレットで決めるか!」
青「えい!」
青「アクアパッツァ!」
青「魚食える?」
橙「大丈夫やけど……」
青「じゃあ早速買い物行こっか!」
青「えっと…」
青「まず海鮮コーナーいくか」
橙「あのさ、」
青「ん?なに?」
橙「俺何も分からへんのやけど…」
青「大丈夫」
青「今日はうるみやお客さんだから」
青「欲しい物があったら買うから何でも言って」
しゃるはいつも優しいけど、今日はもっと優しい。
でもしゃるの優しさが腑に落ちなくてなんかムカつく。
橙「んなっ、」
橙「お金持ってへん分けちゃうし」
橙「子供扱いすんなやあほ」
青「んふふッw」
青「ごめんwごめんw」
橙「笑うな」