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「 白 雨 に 跳 ね る 。 」
蝉の声が、耳にまとわりつく。
夏の午後、空は青く澄んでいるのに、私の心はざわついていた。
「ねねー! こっちこっち!」
幼なじみの日向翔陽が、校庭の端から手を振っている。
彼の笑顔は、太陽みたい。
まぶしくて、ちょっと目をそらしたくなる。
私は彼の隣に並んで、空を見上げた。
雲が、少しずつ厚くなっている。
「夕立、来るかもね」
「え? 晴れてるのに?」
「晴れてても、突然降る雨があるんだよ。『白雨』 って言うの。」
翔陽は
「へぇ~」
と感心したように目を丸くする。
その顔が、なんだか嬉しくて、私は少しだけ勇気を出してみた。
「…翔陽って、白雨みたいだなって思う」
「俺が雨?なんで?」
「突然、私の空に現れて、心を濡らしていったから」
沈黙。蝉の声だけが響く。
でも、翔陽はすぐに笑って言った。
「じゃあ、心寧は俺の太陽だ。俺の空に、ずっといてほしい」
その瞬間、空からぽつりと雨粒が落ちてきた。
まるで、空も私たちの気持ちに気づいたみたいに。
翔陽が私の手を取る。
その手は、バレーボールで鍛えられていて、少し硬いけど、温かい。
「走ろう! 雨宿り!」
私たちは笑いながら走った。
白雨の中、心だけは晴れていた。
体育館の軒下に滑り込むと、雨は本格的に降り始めた。
翔陽の髪が濡れて、少しだけ色が深くなっている。
「心寧、濡れちゃったな… ごめん、俺が急に走ったから。」
「ううん。大丈夫!翔陽が連れ出してくれて、嬉しかった。」
言葉が自然に出てきた。
雨音が、心の鼓動を隠してくれる。
翔陽は、私の髪についた雨粒を指で払った。
その仕草が、まるで映画みたいで、心臓が跳ねあがる。
翔陽は微笑んで、
「心寧って、時々すごいこと言うよな」
その言葉に胸の高鳴りが大きく響く。
照れ隠しをするように私は口を開いた。
「…翔陽が跳ぶと、空が広く見える。私も、翔陽みたいに跳べたらいいのに」
「跳べるよ。俺が、跳ばせてみせる。」
また、胸の高鳴りが大きくなる。
翔陽の目は、いつも空を見ている。
でも、今は私を見てくれている。
「心寧。俺、心寧のこと… 好きだよ」
言葉が、心に、白雨みたいに突然降ってきた。
でも、今度は逃げなかった。
「…私も。翔陽が跳ぶ空が、好き。翔陽がいる空が、好き」
蝉の声が、遠くで鳴いていた。
でも、私たちの間には、静かな夏が流れていた。
雨が止んだあと、空はまた青くなった。
まるで、何もなかったかのように。
でも、私の心には、翔陽の言葉がずっと降り続けていた。
それは、白雨のように一瞬で、でも確かに、私を濡らした初恋だった。
こんちは!翔陽目線👀も出します!
ということで~設定𝕃𝕖𝕥’𝕤 𝕘𝕠!
深月 心寧 - みづき ねね
高校1年生
翔陽とは幼なじみ。
部活 美術部
委員会 運動委員
趣味 手芸 , 詩集を読む事 , デザイン
秘密情報(・×・) ⬇
3歳から翔陽が好きらしい。
翔陽の設定?は次回↪︎翔陽目線👀で載せます!
翔陽の口調変だったら、ごめぇぇぇん!
ばいち!