テラーノベル
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*ご本人様には一切関係ありません
ジリリリッとけたたましく鳴り響くアラームを止め、重い瞼をこじ開け カーテンの隙間から外を覗くと照りつく様な太陽が傲然と居座っていた。
仁「もう朝か、」
重たい体を起こし泥の中から這い出る様に布団から抜け出した。
仁「んーっよし、準備するか」ガチガチにに固まった体を伸ばし俺は準備を始めた。
洗面台に向かい、蛇口を捻って水を顔にかけるパッと顔を上げると鏡の中の疲れ切った男と目が合う。そこに映るのは紛れもなく俺だ。
仁「顔やべーな」メイクさんに申し訳ないなと思いながら俺は朝食を食べにキッチンへ向かった。
コーヒーを淹れながらぼーっと昨日のことを思い出す。今日は5人でYouTubeの撮影だからどれだけ気まずくても話さないといけない。昨日あんなことがあったのに上手く話せるかな、勇斗に嫌われてないかな、考えてるうちにどんどん思考は悪い方向へと転がっていく。
仁「はぁー行きたくねえ…」そんなことを言っても時は止まらない。流石に何も食べずに向かうと体力が持たないのでとりあえずなにか腹に入れようと冷蔵庫を覗いた、これでいいや、と出したのは賞味期限が近いヨーグルト。
仁「さっさと食べて出よ」
コーヒーを一気に流し込み、服を着替えて、ようやく準備が整った。
重い足を動かし、 いつも通り30分前に楽屋に着いた。まだ誰もいないだろうなと思いながら静かに扉を開ける。
仁「おはようございま…え、勇斗?」まさか勇斗がこんなに早く着いてたなんて。
俺が今1番会いたくて、でも会いたくなかった相手
勇「おー、おはよじーんちゃんっ」
仁「珍しく早いな」
勇「だろ?朝から別の仕事もあってさ」
思いの外、勇斗はいつもと変わらない態度で話しかけてきた。
勇「昨日は大変だったな」
__ドクン、と俺の心臓が跳ねるのがわかる。
仁「え、あぁ……そ、そうだな」
勇「別に俺は、あの記事が本当だなんて思ってねえよ」
仁「……え」
勇「何? 仁ちゃん、俺があんな記事信じてたと思ってたの?」少し馬鹿にしたように、勇斗が口元をニヤつかせて聞いてくる。
勇「まあ、あれが本当だったとしても、俺はどっちでもいいけどな」
仁「……」
あぁ、これは勇斗なりの優しさなのだろう、だけど俺は、勇斗が好きなんだ。
「どっちでもいい」、その言葉が俺の頭を支配する。 勇斗にとって俺はその程度の奴、興味すら湧かない。
仁「はは、ありがとな…」
俺の乾いた笑い声が2人だけの静かな空間に虚しく響いた。
いつも通り笑えていなかったのだろうか、勇斗は俺の顔を覗き込んだ。
勇「…仁人? お前、なんでそんな泣きそうな顔してんの?」
仁「えっ、あっいや、……なんでもないよ」
そう言い、焦って顔を逸らす。
じんわりと目頭が熱くなっていくのがわかる。
勇斗の前で泣きなくない。これ以上、迷惑をかけたくない。
そんな俺の切実な願いが届いたのか、ガチャリと楽屋の扉が開く音がした 。
柔「おはよう」
開いたドアの隙間から聞き馴染んだ声が響く。
そこに入ってきたのは、柔太郎だった。
入って来てすぐ、 泣きそうな俺に気が付いたようだった。一瞬だけ目を見開いたがすぐ状況を察したようで、
柔「あっ、よっしー。スタッフさんが呼んでたよ。探してたから行って来な」
優しい柔太郎は俺をこの部屋から離れる口実をくれたのだ。
仁「あっ……あぁ、ありがとう。すぐ行く」
俺がぎこちなく足を動かし、柔太郎の横を通り過ぎようとした瞬間。
柔太郎がすれ違いざまに、俺にしか聞こえない声で耳元で囁いた。
(トイレに行って来な)
誰もいない場所で、頭を冷やせという意味なのだろう。俺の切実な願いを柔太郎だけがわかってくれた。
俺は逃げるように楽屋から飛び出た。
早足で廊下を進む。
__あぁ、早く1人になりたい。
すれ違うスタッフに不審がられないよう、帽子を深く被ってトイレへと向かった。
誰もいない多目的トイレへ駆け込み、鍵をかけた瞬間、堪えていた涙がボロボロと溢れ出してきた。
仁「…くそっ、なんで……」
俺はあるはずのない勘違いをしていた。勇斗が自分と同じ気持ちなのだと、少しでも、何か思ってくれていると、心の何処かで期待していた。
だけど、現実は。
__「どっちでもいい」だった。
その言葉が俺の胸に深く突き刺さる。
早く楽屋に戻らないと、頭の中ではわかっているのに、俺の気持ちとは裏腹にどんどん涙が溢れてくる。
仁「……最悪だ」
翡翠
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#snjn
のりもちさん
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ゆき
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俺はひとしきり泣き終えると目が少しでも腫れないようにと、何度も冷水を顔に叩きつけた。
痛烈な冷たさが、腫れぼったい目元と、ずるずると引きずっていた未練を無理やり冷やしていく。鏡に映る男の目はまだ少し赤い。
仁「そろそろ戻らないと」
俺はタオルで乱暴に水を拭き取ると、
楽屋へとゆっくり歩き出した。
コメント
1件
読了したわ。今回、仁人の心情がすごく丁寧に描かれてて、特に「どっちでもいい」って言葉が胸に刺さった。勇斗にとっては優しさのつもりでも、仁人には別の意味になっちゃうもどかしさがリアルだったな。柔太郎のさりげない気遣いもグッときたし、多目的トイレで涙をこらえるシーンは読んでてこっちまで苦しくなったよ。この先の関係性、どう転ぶんだろう……続きが気になる🔥