心が枯渇している。
永遠に満たされない何かに呑まれてしまう。
いつから?
君への情が友情から愛情に変わった日?
それとも彼から愛を受け入れた日?
いや…きっともっと前から。
「元貴…大好きだよ、愛してる。」
「うん、ぼくも愛してる。」
嘘じゃない。
愛してる。
でも、足りない。
自分の中の醜さに気付いたあの日。
泣きながら君の家に行ったあの日。
…全部をぼくが壊してしまったあの日。
ぼくは我が儘だから。
欲張りだから。
欲しいものは全部欲しいから。
誰と愛を囁いても、
誰と身体を重ねても、
満たされない闇。
むしろどんどん深くなっていく。
それでも、
手に入れたものは絶対に手放したくはない。
「ぼくって我が儘だね。」
「そうだね。でもそれが元貴だから。」
そう言って少し震えながら抱きしめる君。
「ごめんね。」
壊しちゃってごめん。
君と先にこうなっていたら、今頃幸せだったのかな?
いや…きっとぼくがぼくである以上、
結局は壊れていたんだろうな。
「若井、愛してる。」
「おれも…愛してる。」
昨日とは違う愛を貪る。
また、君と言う刺激で気付かされる。
ああ、呑まれていく。
-fin-
コメント
5件
上のコメント見たら確かに
なんかロンリネスみたいでめっちゃ好き…