「にっげろー!」
「ちょ、凸さん!?」
流石にお金を盗むのはリスクが高すぎた。
どうせ死ぬんだからこれぐらいいいでしょ
まるで子どもの頃に戻ったみたいに笑顔で逃げ出した。
もうどこにでも行ける気がしたんだ。
「はい、さもさん」
買ったばかりのアイスを割ってさもさんに渡す。
アイスを食べながら線路の上を歩く。
「………もう着いちゃうね」
「……………うん」
ああ、本当に幸せだった。
「………今までシアワセの4文字なんて無かったのに」
まるで俺の心を読んだかのようにさもさんが呟く。
……………もし、いつか夢見た優しくて、誰にでも好かれる主人公なら
汚くなった俺達も見捨てずにちゃんと救ってくれんのかな…?
………現実を見てみろよ
自分は何も悪くねえと、誰もが思ってるんだよ
波打ち際をさもさんと歩く
靴を脱いで、靴下を脱ぎ捨てて、バカみたいにはしゃぎ合って走る。
息が切れてさもさんと一緒に息を整える。
ふと君はナイフをとった。
「………凸さんが、君が今までそばにいたからここまでこれたんだ」
やめろ
「だからもういいよ。もういいよ。」
やめて
首にナイフを突きつけて、諦めたように微笑む。
「死ぬのは俺一人でいいよ」