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場所は、アイの復帰公演が行われる大型ライブハウス。
舞台裏では、苺プロの社長がこれまでにないほど緊張した面持ちで、モニターを凝視していた。
「いいか、リムル。お前は昨日の今日で、ろくに練習もしてねえ。だが、お前ならやれる。アイの隣で、ただ『立っている』だけでいい。あとはアイが全部引っ張ってくれる」
「……ま、適当に合わせるよ」
リムルは、シエルが用意した特注の衣装(見た目は最高にクールなアイドル服だが、実は超高性能な防具)に身を包み、気楽に答える。
一方、ステージの袖ではアイが、少しだけ震える手でマイクを握っていた。
ストーカーの事件以来、初めてのステージ。恐怖がゼロなわけじゃない。
そこへ、リムルが歩み寄り、そっとアイの背中に手を置いた。
「アイ。後ろは俺が守ってる。君は、君が一番輝ける場所で、好きなように歌えばいい」
「……リムル君。……うん! ありがとう!」
アイの瞳に、再び強い「星」が宿った。
暗転した会場。イントロが流れた瞬間、数千人のファンが絶叫した。
だが、その歓声は、センターに立つアイの隣に**「銀髪の美少年」**が姿を現した瞬間、驚愕の静寂へと変わった。
「……え、誰あの子?」
「超綺麗……え、苺プロの新顔!?」
アイが満面の笑みでマイクを通し、会場全体に響き渡る声で叫ぶ。
「みんなー! 待たせちゃってごめんね! 今日は私の特別で大切な相棒、リムル君と一緒に歌っちゃうよ!」
音楽が加速する。アイの完璧なダンス。
それに合わせるように、リムルは**『智慧之王(ラファエル)』**の演算能力をフル回転させ、アイの全ての動き、呼吸、汗の飛び散るタイミングまでを完璧に予測し、調和させた。
「(シエル、派手な演出を頼む!)」
『了解。光学魔法を応用した「極小規模の光の粒子」を散布します』
リムルが手を振るたびに、ステージに本物の星屑が舞っているような幻想的な光景が広がる。
それは既存のどんな照明技術も超えた、圧倒的な「魔法」の光。
二人の歌声が重なり、会場の熱気は爆発した。
「アイ! アイ!!」
「リムル様ー!!」
舞台袖でそれを見ていたアクアは、拳を握りしめて呟いた。
(……信じられない。アイの輝きが、リムルの存在によって数倍に増幅されている。……こいつはアイの盾になるどころか、アイをさらに高い場所へ引き上げる「翼」だ……)
この日、日本の芸能界に、誰にも真似できない**「伝説の双星」**が誕生した。