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1日遅れですみません本来は昨日の令和8年1月8日に出す予定だったんですけど今回は気合い入れました最近はやってる転生物語です
無職になって三か月。
貯金は底をつきかけ、スマホの検索履歴は「三十代 人生 やり直し」「未経験 正社員 厳しい」で埋まっていた。
「はぁ……異世界転生でもできたらな」
俺――佐倉 恒一(さくら こういち)、三十八歳は、ネット掲示板で見かけたスレを思い出す。
【検証】本当に異世界転生できる方法
・深夜2時
・風呂上がり
・全裸
・鏡の前で
「俺はもうこの世界に未練はありません。次はチート付きでお願いします」
を三回唱える
「……バカバカしい」
そう思いながら、なぜか俺は条件をすべて満たしていた。
深夜二時。風呂上がり。全裸。鏡の前。
「どうせ何も起きねぇしな……」
半ばヤケクソで唱える。
「俺はもうこの世界に未練はありません。次はチート付きでお願いします」
「俺はもうこの世界に未練はありません。次はチート付きでお願いします」
「俺はもうこの世界に未練はありません。次はチート付きで――」
――鏡が、揺れた。
「……は?」
水面のように波打つ鏡。
次の瞬間、腕が、足が、吸い込まれる。
「ちょ、待っ――」
抵抗する間もなく、視界が真っ白になった。
「……お目覚めですか?」
最初に見えたのは、金色の天井。
次に、銀髪の美少女。
「……あ、天国?」
「いいえ。異世界です」
即答だった。
「え?」
「ここは剣と魔法の世界、アルセリア。あなたは転生者です」
「いやいやいや、そんなわけ――」
「年齢三十八歳。無職。前世でのスキルは特になし。趣味はネットとコンビニ飯」
「やめて! 自己紹介しないで!」
美少女――女神らしき存在は、淡々と告げる。
「あなたは“冗談で”転生儀式を行いました。しかし、儀式は成立しました」
「成立するなよ!」
「ですがご安心を。転生特典をご用意しています」
その言葉に、俺の脳内に文字が浮かぶ。
・理不尽耐性:MAX
・睡眠不足耐性:MAX
・無茶振り適応力:MAX
・上司系モンスターへの威圧効果:中
「……チート、これ?」
「はい。非常にレアです」
「どこが!?」
女神はにっこり微笑んだ。
「この世界は、努力と根性が評価される世界です」
「最悪じゃねぇか!」
「では、健闘を祈ります。今度こそ、無職にならないように」
光が弾け、俺の意識は闇に落ちた。
次に目を覚ました時、俺は草原に倒れていた。
「……異世界、来ちゃった……」
立ち上がると、体は若返っている。二十代前半くらいだろうか。
遠くから、角の生えた巨大な狼がこちらを見ていた。
「うわ、初戦闘イベント!?」
狼が唸り声を上げ、飛びかかってくる。
その瞬間――俺は自然と口を開いていた。
「……はいはい、俺が悪かったです。すみません。今すぐ対応します」
狼が、ピタリと止まった。
困惑したように首をかしげ、そのまま踵を返して去っていく。
「……効いた?」
脳内に表示される。
「……俺、異世界でも社畜なのかよ……」
だが不思議と、少しだけ笑えた。
無職三十三歳。
冗談半分の異世界転生。
――どうやら俺の人生は、ここから再スタートらしい。