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狼を追い払った後、俺はしばらく呆然と立ち尽くしていた。
やがて、無意識にポケットからスマホを取り出し、画面をタップしてみるが、当然ながら何も表示されない。
変わらないのは、目の前に広がる見慣れない世界――青い空、草原、そして遠くの森。
「どうすんだよ、これ」
正直、どこから手を付けていいのかも分からない。異世界に転生してみたものの、仕事はないし、生活費もない。魔法も使えないし、スキルって言ってもただの社畜能力じゃないか。
そんなことを思いながら歩き始めると、突然、前から声がかかった。
「おお、転生者か?」
目の前に現れたのは、異世界のおっさんだった。だいたい五十代くらいで、髪の毛が真っ白になっている。肩に布袋を掛け、足元には奇妙な形をした杖を持っている。
「え? おっさん誰、俺のこと知ってんの?」
「当たり前だ。ここに転生した者は皆、俺の弟子になる。さ、ついて来い」
言って、男は俺に手を差し伸べる。
「ちょ、ちょっと待てよ!」
さっきの狼が俺の威圧で去った時点で、もう驚きはしないつもりだった。しかし、この男の言動にさらに驚いた。
「俺、弟子になんかならないから!」
「お前、転生者だろ? 俺が育ててやらないと、この世界で生きていけないぞ」
「いや、そんな……」
「お前が思っているより、この世界は危険だ。特に、魔物とかじゃない、人間がな」
「え?」
男が意味深に目を細める。
「お前は無職だろ? 今のままじゃ魔王軍にでも捕まったらすぐに使い捨てだ」
「魔王軍……」
「俺のような賢者から学んで、魔法でも覚えれば、少しは戦えるだろうし、仕事だって見つけやすくなる」
「魔法か……」
そうか、魔法が使えるようになれば、仕事も見つけやすいのか。
俺が今まで無職でどうしようもなかった理由は、スキルがなかったからだ。
たしかに転生してみたものの、何も特技がない。
この世界で生き抜くには、何かを習得しないといけない。
「うーん……分かった。とりあえずついていくけど、もし“賢者”とか言って、モンスターが出てきたら全力で逃げるからな」
「それで構わん」
男は、ニヤリと笑った。
次回予告:
魔法の使い方を学ぶことになった俺。賢者のおっさんからの教えで、まずは基礎魔法を練習することになるが、どうも要領が悪い。
果たして俺は、魔法を習得できるのか?
そして、いつの間にか周囲に広がる「転生者」への興味と、迫りくる魔王軍の影……!
前回と合わせて50行ったら次出します 次回 おっさんの修行