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109
百はな🍑
568
#呪われた主人公
wadaken1
92
#勇者
みどりのとり
875
『神に捨てられた少年』
ー 第1話 「祝福の日」 ー
空は、どこまでも青かった。
今日は、16歳の少年少女が神から”祝福”を授かる日。
一年に一度しか訪れない、この国で最も神聖な日だった。
広場には大勢の人が集まり、白い服を身にまとった16歳たち
が静かに列を作っている。
「今年はどんな能力が出るかな。」
「去年は炎を操る人がいたらしいよ。」
「でも能力には代償があるんだよね。」
期待と不安が入り混じる声が、あちこちから聞こえてくる。
その列の最後尾で、一人の少年が空を見上げていた。
「……。」
少年の名前は、るい。
人混みは苦手だった。
周りが楽しそうに笑っているほど、自分だけ取り残されているような気がしてしまう。
鐘の音が鳴る。
ゴォォォン――。
広場は一瞬で静まり返った。
祭壇の中央に立つ神官が、ゆっくりと両手を広げる。
「神の祝福を。」
その言葉と同時に、空から無数の白い光が降り注いだ。
光は列に並ぶ少年少女たちの胸へ吸い込まれていく。
一人、また一人。
そのたびに、腕へ紋章が浮かび上がった。
「能力が発現した!」
「すごい……!」
歓声が上がる。
ある者は風を起こし、ある者は炎を灯し、ある者は水を生み出す。
それぞれ違う力。
しかし、全員に共通することが一つだけあった。
腕に刻まれた”神紋”。
神に選ばれた証だった。
やがて列は進み、るいの番になる。
神官は静かに手をかざした。
白い光が、るいを包む。
……
…………
………………。
何も起こらない。
広場が静まり返る。
神官はもう一度、祝福の言葉を唱えた。
それでも。
何も起こらなかった。
腕には神紋が現れない。
能力も発現しない。
「……え?」
誰かが小さくつぶやいた。
その一言をきっかけに、広場がざわめき始める。
「神紋がない……?」
「そんなこと、あるのか?」
「見たことない……。」
神官の表情が初めて曇る。
るいは自分の腕を見る。
何度見ても、何もない。
「どういうこと……。」
その瞬間。
祭壇の奥から、鈍い鐘の音が響いた。
ゴン。
ゴン。
ゴン。
さっきとは違う。
低く、不気味な音。
広場中の人々が青ざめる。
「……凶鐘だ。」
誰かが震える声で言った。
「神が……拒絶した。」
その言葉を聞いた瞬間、人々の視線が一斉にるいへ向く。
驚き。
恐怖。
嫌悪。
さまざまな感情が入り混じった視線だった。
るいは何も言えない。
何が起きたのか、自分でも分からない。
ただ一つ分かったことがある。
今日、この瞬間。
自分は、この世界でたった一人の”異端”になった。
――第2話へ続く。