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「私、真奈にいつも助けられてます。なのに、私は何もしてあげれなくて。真奈みたいな心の綺麗な子、いないです。だから……絶対に幸せになってもらいたくて。絶対、泣かしてほしくないんです。すみません、本当にプライベートなことに立ち入って」
「ううん、有難いよ。そうだね、うん、ずっと悩んでたから、ちゃんと考える。考えて……真奈に結婚を申し込むよ」
良介君の顔がパッと明るくなった。
「ごめんなさい。でしゃばってるのはよくわかってます。余計なお世話ですよね。でも、私は2人をずっと応援します」
「柚葉ちゃん、ありがとう。余計なお世話じゃないよ。本当に感謝してる。小さいことにこだわる真奈じゃないのに、こだわってたのは俺の方だった。よくわかったよ」
「良介君なら大丈夫です。でも、浮気はダメですよ、絶対に。それをしたら、私、良介君を許しませんから」
「怖いな、柚葉ちゃん」
真奈が、本当に幸せになれますように……
私は本気で願わずにはいられなかった。
あっという間に時間が過ぎ、バイトが終わってスマートフォンを見たら、樹さんからメールが入っていた。
『今日、会えるか?』って……
ただそれだけの短い文なのに、急に胸が踊り出す。
私も樹さんに会いたい――
『はい。会えます』
その返信にすぐ既読がついた。
『バイトは?』
『今、終わりました』
そのやり取りの後、待ち合わせの場所と時間が入った。
1度行ってみたいと思っていたイタリアンレストランだ。
『わかりました、行きますね。樹さん、ありがとうございます』
『敬語使ったから罰金だな』
久しぶりだったから忘れていた。
敬語は無し……って約束したんだった。
『ごめん』
『本当に敬語なんていらない。あと、樹って呼ばないと許さない』
樹さんは強引だし、言い方も雑だ。
だけど、こんなにドキドキするのはなぜなの?
柊君の時以上の感覚に、自分でも驚いてる。
「どうしたんだろ……私」
大丈夫とはいっても、まだ柊君のことが忘れられないのは確か。樹さんに告白されたからって、こんなにソワソワして……
自分が自分でよくわからなかった。
バイトからの帰り道、どうやってマンションに戻ったかよく覚えてない。
部屋に1人、何も考えられず、気持ちが高ぶって落ち着かなかった。
もうすぐ、樹さんに会えるんだ……
仕事で忙しいのに、私と会う時間を作ってくれて、本当に嬉しかった。
もし、樹さんがアメリカから帰ってなければ、私は今頃どうなってたのか……
不安と寂しさに襲われて、生きているのも苦しかったかも知れない。
そんな暗い闇に落ちないように、樹さんは……
私に光を与えてくれたんだ。