両親に言われ、1度だけお見合いもした。
でも、誰にどんなに強くアプローチをされても、相手を女性として見ることはできなかった。
努力ではどうにもならず、ますます強くなっていく自分の気持ちにブレーキは効かないことを強く悟った。
それから、長いようで短い3年が過ぎ、いよいよ日本に戻って仕事に邁進しようと思っていた時、その決意は早々のうちにもろくも崩れ去った。
偶然百貨店で再会した時の驚きは言葉では言い表せない。
そして再び、リベルテで琴音を近くに感じ、俺は改めて彼女を愛おしいと認識した。
胸の奥の方に閉じ込め、抑え込んでいた感情が、また一気に再燃してしまったんだ。
この想い、いったいどうすればいいのか?
琴音にはどうやらパジャマをプレゼントするような相手がいるらしい――きっと、彼氏だろう。
もう遅過ぎたのか?
いや……相手はただの友達かも知れない。
仕事のことなら何でも決断できるのに、何も聞けないままうじうじしてる自分がバカみたいで情けなくなる。
もし琴音に好きな人がいるなら諦める。
それが俺のできること。
その時は、友達としてずっと彼女を見守っていくしかないんだ。
でも、もしあのパジャマの相手が彼氏じゃなかったら?
それでもまだ自分が未熟だからって、この先も仕事だけに突っ走って、琴音を諦めるのか?
本当にそれでいいのか?
もうこれが最後のチャンスかも知れないのに――
彼女と一緒にいられたらどんなに幸せだろうか。
それは俺の……わがままな願いなのか?
何か、どんな形でも、琴音を守る方法はないのか?
疑問ばかりが頭の中に浮かんでくる。
とにかく、今は考え過ぎるのは止めよう。1度、冷静にならないとダメだ。琴音のこと、まだ何も本当のことがわからないんだから。
俺は、勝手に熱くなるこの気持ちを抑え、深呼吸して自らの心を落ち着かせようとした。
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