二人で町をぶらぶらしつつ町の中心部の方にある掲示板を見ていると、厄介な魔物の討伐依頼の張り紙が目に止まった
「···コヨーテ型の魔獣か」
張り紙を見て呟くと別の方向をを見ていたサクも同じく張り紙を覗き込む
「たまに町にきて悪さしてるみたいだね」
サクも張り紙を見てそう言う
場所はどうやら町の外れにある森のようだ
確かに下手したらあの森の方からきた人もおそわれそうだ
「報酬も良さそうだしこの依頼受けてみないか?」
旅の資金も大事だしここら辺で稼いでおくのもいいのではないかと思う
「そうだね。ジスはすぐでも大丈夫な感じ?」
「ああ。今からこの張り紙の依頼主のとこに行くか」
俺の提案に頷いたサクと依頼主に話を聞きに行き、詳しい話を聞いてから例の森に向かう
着いた森はうっそうとしていて木の葉が日の光を遮る薄暗いところだった
いかにも魔獣がいそうな所だな。まあ実際いるわけだが
ふぅと息をついてからふと疑問が浮かぶ
「そういえばサクはどう戦うんだ?」
サクは俺の双剣のような武器をもっている訳でもないし、殴ったりして戦う武闘派にも見えなかった
「スキルを使うんだよ。俺のスキルは割と戦いに応用出来るやつだから」
そう言われてサクのもつスキルについて思い出す
たしか···
「操作系、って言ってたか?」
「まあ、そんなところかな···操作というより催眠みたいな感じかもしれないけど」
サクの補足に少し疑問をいだきつつ頷く
「まあ戦えるんだろう?俺もサポートはするが依頼主によると魔獣の数が多いらしいからな」
「大丈夫だよ。ジスには俺からちょっと距離を取っていてくれるとたすかるかな」
サクは口元まである上着のボタンを開けて口元と首元を開ける
その時に見えた首輪のようなものとそれに着いた赤い石が気になったが 俺も双剣の片方をとり出して臨戦体制をとる
「じゃあいくぞ」
サクが頷いたのを見ておれは依頼主から借りたコヨーテ型の魔獣を呼び寄せる犬笛におもいっきり息を吹き込んだ
微かに犬笛の音が聞こえたか聞こえないかといううちから森がざわめき始める
俺は犬笛をしまって、もう片方の、剣を取り出した
「ジス。俺から5mくらい離れてて」
「わかった」
サクの声かけに返事をしてサクから距離を取る
集中して耳をすませると微かな魔獣の足音と唸り声が聞こえてきた
おおよその方向を割り出してそちら側に視線を向けると草の揺れと共に何匹もの魔獣が顔を出した
数秒の沈黙の後に魔獣が何匹も襲いかかってきた
そこから激しい戦闘が始まる
襲いかかってくる魔獣を左手の剣で受け流し右手の剣でカウンターを食らわせる
そしてカウンターを食らわせた魔獣を他の魔獣に向けて飛ばし、まとめてなぎ払う
同時に背後から噛みついて来ようとした魔獣に剣を噛ませ反対の剣を首筋に突き刺す
こうして流れるように魔獣たちを片付け大方回りにいなくなったと思い、サクの方を見ると思わず固まってしまった
常に発せられていた拒絶のスキルは、強烈に気を気を引かれるような魅惑的な、挑発的なものにすりかわっていて、他人のスキルの影響を全く受けないはずの俺でさえ引き寄せられてしまいそうだった
そしてそのスキルに気を引かれ、まんまと挑発された魔獣たちはサクにある一定距離以内近づいた奴からばたばたと倒れていく
よく見るとサクは何かを言っているようで口が小さく動いている
サクの戦い方の異常性に呆気にとられていると、サクに背後から近づく魔獣を見つけた
とっさに走ってサクの一定距離に入らないようにしてその魔獣を仕留める
「ーー」
通りすぎた瞬間微かに聞こえたサクの声
魔獣を仕留めてすぐに俺はまたサクを見る
さっきの声はなんだったのだろうと思うと同時に、綺麗だ。と思った
甘美な罠のような、ひどく魅力的で気を引かれて仕方がない。でも近づいてはいけない。近づいてしまった奴から仕留められる
そんな罠のシステムが、それを操るサクが
その後もお互い魔獣を倒して、魔獣退治は無事終わった
森から宿への帰り道の途中
俺は我慢できずに口を開いた
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