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海龍side
「かいりゅー?……なぁ海龍ってば!」
「ん…なんや、直哉か、、」
教室の自分の机で突っ伏しとったら、直哉が話しかけてきた。
こいつは中学からの同級生で、ある程度仲良い。
「まだ帰らへんの?もうみんな帰っちゃったよ?」
「うーん…まだ、」
「なんか元気ないな?」
「……いつもや」
「いつもちゃうやろ。せいちゃんと、、」
「今そいつの名前出すな!」
「うわっ!!いきなりでかい声出すなよ!びっくりしたやないか」
肩をポンっと叩いてくる。
いつもやったら、なんか喋り倒すのになんも言えへんかった。
俺ってこんな静かになれるんや。
「…喧嘩でもしたん?」
「まぁ、、」
「なーんか珍しー、すぐ相談しいや?」
「おん、ありがとうな」
「じゃあなお部活行ってくるわ」
「いってら」
手をひらひらさせながら、教室を出て行った。
「はーーー…いたたたた”っ、」
丸めてた体を伸ばそうと伸びをする。
昨日拓途と無理やりやってもらったのもあって、体がバッキバキに痛い。
『ずっと好きやってん!』
『しんどいねんお前とおると!!』
聖人に言われた言葉が何回もフラッシュバックする。
「なんやねんもう、」
ほんまにいいことないなー
そんなことを考えていたらスマホから通知音がなった。
聖人なわけないのに、期待して画面を開くと、表示されてたのは”拓途”の名前。
『帰れた?』
『体、痛くない?』
いや、彼氏か。…微妙やな。
『まだ学校ー』
『ちょっと痛いけど言うてやから大丈夫』
重い足取りで校門を出て、帰り道をトボトボと歩く。
視線はずっと地面に落ちたままやった。
いつもやったら聖人と変な話して笑って帰ってるなとか、聖人のことばっか考えてもうてキリない。
こんな静かなんは高校入学してから初めてやった。聖人は今何してるんかなーとか考えたりしてみる。
「海龍ー」
聞き覚えのある声が聞こえて顔を上げる。
改札からちょっと離れたところに、拓途が立っていた。
「……なにしてるん」
「迎え来ちゃった。ちょうど帰るところやったし、、なんせ心配だったから」
制服のまま立っている拓途は、どこかほっとしたような顔で俺の事を見つめている。
大丈夫って送ったのにわざわざ待っててくれてたんかな。
「心配しすぎやって」
「心配するやろ。…おかえり」
「…ただいま」
そういって拓途と一緒に改札を通った。
ーー帰り道。
「俺からごめんって言った方がいいかなー…」
「でも海龍はなんも悪くないやん」
「悪いやろ…気づいてあげられへんかったねんで?」
「人の気持ちなんか分かるわけないし、海龍のことだから余計ねぇ」
「おい、それどういう意味や」
「そんなこといいから、そんな悩んでる暇あったら謝ってきたら?」
拓途は面倒くさくなってきたみたいな言い方をしてきた。まぁいつまでもこんな話しとったら、そう思うのもわからんくもない。
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🆖
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らびゅ🫶💕〜!
「ええよな、拓途は他人事やからさ」
「話聞いてあげてんのにその言い方?ひどいなぁ」
そう言いながら、拓途は俺の頭をぽんぽんと優しく叩いた。
歩いていくうちに家が見えてきて、お互い玄関の前に立ち止まる。
「まあ、早く仲直りしなよ。いつもの元気な海龍見たいし。…でも俺としては、海龍が俺の相手ずっとしてくれるんだったら、その方が都合いいけど」
「……兄ちゃんおるやん。都合よくならんしな」
「はいはい、じゃあね」
拓途は手を振りながら、家の中に入っていった。
1人、玄関先に取り残される。
拓途の余裕そうな顔と言い方にイラッとしながらも、言ってくれたことが正しいことに気付かされる。
明日絶対聖人と話したんねん。
次の日、相変わらず学校では聖人とは一切目も合わず、喋らずやった。
今日あいつのバイト先に凸ってやろうと思ってる。メール送っても未読無視やし、学校で話しかけようとしても避けられるし。逃げ場ないバイトに行ってやんねん。
って、ノリで来てもうたけど、入るんばり緊張する。
自動ドアが開いて店に入ると、見慣れへんバイトの制服を着た聖人がレジに立っとった。
聖人は俺に気づくと、あからさまに体を固くして気まずそうに目を逸らした。
俺は手に缶コーヒーを持って、レジに置いた。
バーコードを読み取る聖人の手が震えているのがわかった。
「…140円です、」
「……バイト終わるん何時?」
「え、19時…やけど、、」
「終わったらあっこの公園来いよ」
言い逃げるようにそれだけ吐き捨てて、缶コーヒーを手に取ってコンビニを後にした。
あいつが来てくれるかは正直わからん。
けど、来てくれるって期待してる自分がおった。
俺は公園のブランコに揺られながら待っとったけど、もう19時を少し過ぎてもうた。
やっぱり来おへんか…無理に誘ってもうたもんな。
帰ろうと立ち上がった瞬間
「っ、はぁ、はぁ…ごめん、ちょっと長引いてもうた…」
息を切らしながら胸を上下させて俺の前に立ってる聖人。
服が整ってなくて髪もボサボサで、急いできてくれたんやなってのがわかった。
「……話、あんねやろ」
「…あぁ、せやった…あんな、前のことやけど…」
「前のことなら、もうええよ」
俺が切り出そうとした瞬間、聖人が話を遮るように冷たい声を出した。
「俺が勝手に感情的になってもうただけで、海龍はなんも悪ないから。…海龍が、、」
「ええから俺の話聞けや」
少し強めのトーンで言うと、聖人の肩が跳ねた。
俺は近くのベンチへ歩いていき、隣のスペースをぽんぽんと叩く。
「こっちきい」
聖人は少し考えてから、俺と絶妙な距離を取りベンチに腰かけた。
「まず、言わせてもらうけど…お前がキスしてきたくらいで、嫌いなんかならへんよ」
「……っ、」
「何年一緒におると思っとん?お前が俺のこと好きなんは素直に受け取る」
静かにまっすぐそう伝えると、聖人の目元がじんわり赤くなっていくのが見えた。
「……やって、あのとき、海龍も泣きそうやったし…っ、さすがに嫌われたと思って、っ」
ぽろぽろと零れそうになる涙を、必死に拳で拭おうとする。
その仕草が昔と変わっとらんくて、口元が緩む。
「びっくりしただけ。嫌いとか嫌やったとかないから」
「……ほんま、?」
「ほんまやって。嫌いやったらこうやって会ってへんしな」
聖人は俯いたまま何度も目元を擦っている。
「俺はさ、まだ幼馴染としてやけど…お前のこと大好きやし大切やからな」
「……え、っ」
「やからまだずっと一緒におりたい」
その言葉が引き金になったみたいに、聖人の目からボロボロと涙が溢れ出した。
「ごめ、、あかんわほんま…っ、泣かせんといて、っ…」
「めっちゃ泣いてるやん笑なに?そんな感動した?」
「うっさいなぁ、っ…お前のせいでこうなっとんねん…」
やっぱり、聖人がおるだけでこんな違う。
安心感がある。
「…海龍」
「なに?」
「海龍のこと本気で好きやから…俺の事ちゃんと考えてな」
「…ええよ。考えたる」
「言ったからな?」
聖人の顔は冗談を言ってる顔じゃなくて、本気で真っ直ぐな目でそう言ってきた。
その表情にすこし照れてしまった自分がおった。
照れを隠すように俺は腕を広げた。
「仲直りした記念にハグしたるわ」
「なんでそんな上からなん」
「せんくてええ?こんなチャンスもうあらへんよ」
「……する」
文句を言いながらも、聖人は遠慮がちに俺の胸に飛び込んできた。
「でっか!」
「お前が小さいだけや!」
ぎゅっと俺の背中に回された聖人の手に、いつもより強い熱を感じる。
俺が包み込んであげよ思たのに、逆になってもうてる。
何回も言うけど安心感えぐい。
聖人side
「仲直りした記念にハグしたるわ」
「なんでそんな上からなん」
「せんくてええ?こんなチャンスもうあらへんよ」
「……する」
そう言って、俺より小さい海龍の腕の中に引き寄せられるように体を預けた。
「でっか!」
「お前が小さいだけや!」
呆れたように言いながらも、海龍の手が俺の背中に回される。
あたたかい体温とずっと大好きやった海龍の匂いが、俺の事を全力で包み込んでくれる。
俺の背中に回された海龍の手が背中をとんとんと叩かれる度、また涙が溢れそうになる。
この時間がずっと続けばええのに。
ずっともう話せんと思っとった。名前すら呼んでくれへんと思っとった。
でも、海龍はちゃうかった。
俺みたいなやつとはもう絡まんでよかったのに、ずっと気にかけてくれて、こうやって話してくれた。
『俺はさ、まだ幼馴染としてやけど…お前のこと大好きやし大切やからな』
ほんまずるい。あんな優しい顔で言われたら、もっと諦められへんくなるやん。
海龍の言う大好きは、俺のとはまたちゃうけど。
「……大好き」
「なに急に」
「お前が忘れへんように」
「…………」
「照れてんな?」
「照れてへんわアホ!!/」
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