「手伝ってほしいことってなに?」
樹に頼みたいことがあると言われて大きなショッピングモールに来ていた。
「いろいろ世話になってる人にお礼したいからプレゼント選び手伝って」
「私で大丈夫?」
「○○じゃないと駄目、女の人の好みとか分かんない」
女の子に、、私の知らないところでプレゼントを渡すほど親しい子がいると思うと、もやもやして気持ちが晴れない。
「んわっ?」
「いつもと匂い違う」
頭に手を置いてぐっと引き付けて髪に顔を近ずけて樹が言った。
「香水つけたんだけど、臭う?」
「ううん。つけてるイメージなくて驚いただけ」
「そうかも、これも貰い物だしね」
香水をつけることはほぼない、でも樹と出かけるから気合い入れたつもりだ。
「誰から?」
「ん?知り合いからだよ」
反射的に誤魔化した。
家にあるのがこれだけだとしてもせめて他に買ってくれば良かった。なんせくれた人が元彼。
「で、プレゼントだよね。その人って何歳くらい?」
「○○と同じくらい」
年齢が一緒だからといって好みまで同じことはないから難しい。
「だいたいの好みとかって分かる?」
「知らない、○○が欲しいもの選んで」
「えー…」
そんなこと言われても。だいたい樹が適当なんだよ。
無難にハンカチとか、ハンドクリーム?
「ハンドタオルはどう?」
「それ○○は欲しいの?」
私じゃなくて他の子にあげるんでしょ!そこまでこだわる必要ないのにさ。
「ならお菓子は?美味しいし貰っても困らない」
「○○が貰ったら嬉しい?」
「また?私のじゃないよ」
「誰にあげるとか関係なく、お前が欲しいもの選べ」
よく分からないまま素直に私が欲しいと思うものがないか探す。
「これ…かな」
ぱっと目に入って惹かれたのがバスグッズだった。淡いグラデーションのバラの形のバブルバスで可愛い。
「自分じゃ買うことないし、貰ったら嬉しいかも!」
「じゃあ、あと好きにしてて」
そのまま樹は歩いてどこかに行ってしまった。自由すぎる。
◇◆
「お待たせ」
「買えた?帰ろっかー」
「はい」
「なに?」
樹が私に袋を渡した。おそらく買ってきた女の子にプレゼントするやつ。
「開けて」
私の物じゃないのに良いのか、不思議に思いながらも樹に言われたので袋を開ける。
「これって、」
中に入っていたのは私がさっき欲しいと言ったバラの形のバブルバスだった。
「○○に。昨日給料入ったから」
…なんだ、そうゆうことか。
「別に良いのに。ありがとう」
他の子にあげるって言って私に選ばせたのね。安心した。
「まだあるよ」
「まだあるの?」
袋の奥を覗いてみる。
「…香水?」
「今つけてるのってあいつから貰ったやつだよね?」
「うっ、うん」
気づかれた。
元彼と同じ香水使ってるのってやっぱり良くないよね…。だとしても物は物だから、捨てるのはもったいないって考えちゃう。
突然樹が香水を手から取って私に振りかけまくり出した。
「待ってかけすぎ!」
絶対周りから香水臭くて距離取られるやつ!手で扇いでなんとか匂いを緩和しようとする。
「もー、急に何すんの」
今のが無ければかっこよかったな〜。
「やっと消えた。俺と同じ匂い」
コメント
2件
樹の嫉妬がかわいすぎる…