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ヒモ男拾いました

13 - 誕生日

♥

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2022年07月24日

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「お先に失礼します」


「はーい」


やっと仕事が終わった。樹もいるから早く帰ろう。

入口前に立つ人物を見て足を止めた。私に手を振って歩いて来る。


「誕生日おめでとう。1日遅れてだけど」


「どうも」


思い出した、昨日誕生日だった。北斗がいなかったら忘れたままだった。


「それだけ〜?○○が好きなチーズケーキもあるよ」


普通、元カノの誕生日って祝うものなの?心の中でケーキとどちらを取るか葛藤した。


「食べる」


まあいいや、ケーキは美味しい。


「このあと空いてる?久しぶりにご飯食べに行かない?」


「行かない。家帰んなきゃ」


「誰か待ってるの?」


まるで全て見透かしてるような言い方だった。図星で言葉に詰まる。少し間を置いて答えた。


「…いないよ。来週は空いてるからその時ね」


私は足早に会社から出た。


◇◆


家に入って靴を脱ぐ。リビングには明かりがついていていた。


「ただいま〜」


「その袋は?」


樹が北斗からもらったケーキの紙袋を指した。


「会社の人がケーキくれたんだ」


「冷蔵庫にしまっとく?」


「うん、お願い」


袋を渡して、自分の部屋でスーツを脱いで部屋着に着替える。部屋から出ると私の名前を呼ぶ声が聞こえた。


「なにー?」


「これ、誕生日おめでとうって書いてあるけど」


見てみると、ケーキの箱の上に付箋で確かにそう書いてあった。


「実は昨日、私誕生日で。それでケーキももらってさ」


「え、お前昨日誕生日?」


そんな驚く?ってくらい目を見開いて固まる。


「なんも用意してなかった…」


「そりゃあ知らなかったんだから無理だよ」


「なら言えよ」


食い気味に言われた。


「なら樹の誕生日はいつ?」


「6月」


「だいぶ前に過ぎてるじゃん!」


逆に自分は祝ってもらいたくないの?結局どっちもどっち。


「じゃあ来年は俺の誕生日祝って」


「いいよ。私のもね」


樹が右手の小指を差し出した。そこに自分の小指を絡めて指切りげんまんした。

私は安心した。来年は、ってその時までここに必ずいるんだ。

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