テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
翌日。
私は、 机に突っ伏していた。
「……つかれた」
ぼそっと呟く。
昨日のことが、 頭から離れない。
香水の人。
高校生の先輩。
それに。
『立花さんのこと調べてほしい』
なんで私?
「立花さん、大丈夫?」
クラスの女子に声をかけられて、 慌てて顔を上げる。
「あ、うん! 平気!」
反射で笑う。
でも。
最近、 こういうの増えた。
秀明で黒木君たちといるところ、 見られてるんだと思う。
「ねえ、黒木君たちと仲いいの?」
「え!?」
「この前一緒にいたよね?」
「いや、えっと……」
なんて説明すればいいの!?
探偵チームです、 とか言えるわけないし!
その時。
キーンコーンカーンコーン。
下校のチャイムが鳴った。
「……っ」
助かった。
塾、いこう。
気づけば。
私は塾の屋上に来ていた。
別に理由はない。
ただ、 ちょっと静かな場所に行きたかった。
ベンチに座って、 自販機で買ったミルクティーを開ける。
風が気持ちいい。
「……ここ、来るんだ」
「え?」
声がして振り返る。
上杉君だった。
「あ」
「静かだから」
上杉君は、 それだけ言って近くのフェンスにもたれた。
無言。
でも、 気まずくない。
なんか不思議。
「……上杉君って」
「何」
「ひとり好きそう」
「好き」
即答だった。
「あは」
思わず笑う。
すると。
「最近疲れてるだろ」
急に言われた。
「え」
「顔」
そんなわかりやすい?
「まあ……ちょっとだけ」
「無理して合わせなくていい」
上杉君は、 空を見たまま言う。
「立花、たぶん気使いすぎ」
「……そんなことないよ」
「ある」
きっぱり。
なんか。
見透かされてるみたいだった。
「黒木たち、圧強いし」
「それは否定できないかも……」
「特に若武」
「うん」
「あと黒木」
「……うん」
思わず笑ってしまう。
すると。
ガチャ。
屋上の扉が開いた。
「……何してるの?」
黒木君だった。
一瞬。
空気が変わる。
「お茶」
上杉君が答える。
「見ればわかる」
黒木君が、 ちょっと不満そうに言った。
え。
なにその顔。
「……俺、邪魔?」
「別に」
上杉君は普通だった。
でも。
数秒後。
「……俺、戻る」
さらっと立ち上がる。
「え、もう?」
「静かじゃなくなった」
「ひど」
黒木君が言う。
でも。
上杉君は、 少しだけ笑って屋上を出ていった。
急に静かになる。
「……で?」
黒木君が近づいてくる。
「何話してたの」
「えっと、普通に……」
「ふうん」
なんか。
ちょっと不機嫌?
私は無意識に後ろへ下がる。
すると。
気づいた時には、 フェンス際まで来ていた。
「……あ」
そのまま。
黒木君の手が、 私の横のフェンスをたたきつける。
え。
目の中にはちょっとだけ、怒りがあった。
「何話してたの」
ちょっと待ってその前に。
「あのね」
「黒木君、近い」
「そう?」
「そう!」
「逃げるからでしょ」
「逃げるよ!?」
心臓がうるさい。
「上杉とは普通に話してたのに」
「え?」
「俺とは逃げるんだ」
少しだけ。
黒木君が不満そうに笑った。
目の中には、怒りと、悲しみと……なんだろう。
その顔、 ずるい。
「……なんで?」
「え?」
「俺じゃダメ?」
どくん。
心臓が、 跳ねた。
答えられない。
だって。
上杉君といる時は、 落ち着くのに。
黒木君は違う。
近づかれるだけで、 息苦しくなるくらいドキドキする。
なんでだろう。
「……アーヤ?」
顔を覗き込まれる。
無理。
近い。
「……っ」
思わず顔を逸らす。
すると。
「ふっ」
黒木君が吹き出した。
「真っ赤」
「うるさい!」
間をすり抜けて、急いで屋上を飛び出した。
もう。
調子狂う。
休憩で来たのに疲れちゃった。
黒木君といると、 心臓がおかしくなる。
なのに。
嫌じゃないって思ってる自分が、 一番意味わかんなかった。
コメント
1件
第14話読んだよ〜! 黒木君、あの「俺じゃダメ?」は反則すぎるでしょ…! 上杉君といるときは落ち着くのに、黒木君だとドキドキしすぎて呼吸すらしづらくなるの、めっちゃわかるわ。 あのフェンスに手ついて追い詰めるとこ、絵面強すぎて頭から離れない。 でも最後に「嫌じゃないって思ってる自分が一番意味わかんなかった」ってとこで、立花さんの自覚し始めた感情がすごく可愛かった! 続き気になる〜!
#探偵チームKZ事件ノート
まあ
282
#純愛