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猫アレルギー
111
158
まあ
68
かえ
311
「うるさい!」
アーヤが真っ赤な顔のまま屋上を飛び出していった。
バタン!!!
勢いよく扉が閉まる。
一瞬、 屋上が静かになった。
ぼそっとつぶやいた。
「あと少しだったのに」
「……え?」
さっき来た若武がぽかんとしている。
「なに今」
「知らない」
俺――黒木貴和は適当に返した。
「いや絶対なんかあっただろ!?」
「別に」
「絶対別にじゃない‼」
若武が騒ぐ。
でも。
正直、 俺もよくわかってなかった。
フェンスにもたれる。
さっきまで、 アーヤがいた場所。
なんか。
まだ顔赤かった気がする。
「……」
思い出して、 少し笑いそうになる。
「お前なんで笑ってんの!?」
「笑ってない」
「笑ってる!!!」
うるさいな。
「ていうか黒木」
若武が急に真顔になる。
「お前さっき、“もう少しだったのに”って言ってたよな?」
「言った?」
「言った‼」
そんな大声出さなくても聞こえる。
「何がもう少しだったんだ!?」
「……さあ」
「さあ!?」
本当に、 よくわからない。
自分が何をしていたのかも、よく覚えていない。
そんなことを言ったのか、俺は。
なんでだろう。
ただ。
あの時。
アーヤが逃げなかったら、 どうしてたのか。
それを考えると、 少しだけ変な感じがした。
「……まあいい!!!」
若武が急に切り替えた。
「次だ次‼ 事件だ!!!」
「切り替え早」
「だって気になるし!!!」
若武は、 ひとりで騒ぎながら屋上を出ていく。
静かになった。
風が吹く。
空を見る。
昼休みの屋上。
遠くではしゃいだ子供の声が聞こえた。
「……」
なんか、 落ち着かない。
その理由も、 たぶんわかってる。
上杉といる時のアーヤ、 普通に笑ってた。
あれが。
妙に気に入らなかった。
「……重症かも」
ぽつりと呟く。
すると。
「何が?」
後ろから声がした。
「うわ」
振り返る。
いつの間にか、 上杉が戻ってきていた。
「びっくりした」
「お前が気づかなすぎ」
上杉は、 俺の隣に来る。
「若武は?」
「帰った」
「ふうん」
少し沈黙。
そのあと。
「立花泣かせた?」
「泣かせてない」
「赤かったけど」
「……」
見られてたんだ。
「お前さ」
上杉が、 フェンスに寄りかかる。
「無意識で距離詰めるのやめた方がいい」
「え?」
「立花、慣れてないから」
「……」
なんか。
変に引っかかった。
「別に、そういうつもりじゃない」
「だろうな」
上杉は即答した。
「だから厄介」
「何それ」
「自覚ない方がタチ悪い」
意味わかんない。
でも。
少し考えてから、 上杉が静かに言った。
「……まあ、立花相手だけだけど」
「え?」
「お前」
一瞬。
言葉に詰まる。
その時初めて。
自分が、 アーヤ相手だと変になるって、 気づきかけた。
「黒木――――‼」
遠くから若武の声が響く。
「忍が猫追いかけて消えた――――!!!」
「……は?」
「あと小塚がキレてる――――!!!」
「珍し」
思わず笑う。
すると。
「行けば」
上杉が言った。
「ん」
屋上の扉へ向かう。
その直前。
「黒木」
「?」
「程々にしろ」
「何を」
上杉は少しだけ笑った。
「立花、たぶんもう遅いから」
コメント
1件
わああ第15話読み終えたよ〜!!😭💕 アーヤが屋上飛び出してったシーンからもうドキドキが止まらなかった…!黒木くんの「あと少しだったのに」って呟き、無意識だったんだね…でも上杉に「立花相手だけ」って言われて自分で気づきかけるの、エモすぎるでしょ…!! 最後の「立花、たぶんもう遅いから」で心臓止まるかと思った…!若武の猫騒動のギャップも含めて、空気感が最高だったよ〜続き気になりすぎる!!⋆♡