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「もう会えない」なんて言葉は、告げないで。
「もう会えない」って言われたら、辛すぎるじゃん。
君に会えない日常なんて、考えられないよ――。
私は紺(こん)。中学1年生だ。
今私は、病室にいる。
なぜなら、彼氏に会いに来ているからだ。
彼氏の名前は碧衣(あおい)。同い年だ。
碧衣は心臓の病気で、中学に入学するタイミングで入院し始めた。
私は毎日、碧衣に会いに行っている。
結構ヤバい病状らしいけど、碧衣は普通に元気だ。
今日は、部活の話をしていた。
「あのね、私バスケ部なんだけど、シュート5回も決めちゃったんだ!!」
「え、すご!!・・・・・いいなぁ、僕も部活やりたいなぁ」
私を褒めた後、碧衣は少し残念そうな表情をする。
私は言った。
「大丈夫だよ!きっと病気も治るよ!一緒に部活やろう!!」
そう励ますと、碧衣は笑った。
次の日。
私は学校を休んだ。
「学校なんて行ってる場合じゃない!!」
碧衣の病状が急に悪くなったらしい。
命の危機だそうだ。
ダッシュで病院につくと、碧衣がベッドに横になっていた。
すごく苦しそうで、息が荒い・・・・。
「碧衣!碧衣!大丈夫!?」と私が叫ぶ。
「・・・・紺・・・大丈夫・・・・・・・ごめん」
「碧衣!絶対大丈夫じゃないでしょそれ!」
私が真面目に叫ぶと、碧衣はフッと笑った。笑ってる場合じゃないんですけど!?
すると碧衣が言った。
「ごめん紺・・・・・もう会えない・・・・・会えなくなる」
私の頬に、一筋の涙が流れた。
碧衣は、今までで見たことがないくらいの優しい笑顔を見せた。
そして、静かにその息をとめた。
碧衣が、瞳の光を失った。
「碧衣・・・?碧衣!?死なないでよ!!嫌だ嫌だ!!死なないで!!」
私は必死に呼びかけるけど、碧衣は反応してくれない。
そっと碧衣の手に触れると、脈がなかった。彼の手は冷たかった。
――なんで、死んじゃったの?
「もう会えない」って言い残して、碧衣は去った。
そんな苦しい言葉を残していかないでよ、碧衣――!!
「もう会えない」なんて言葉は、告げないで。
君に会えない日常なんて、考えられないから。
君が大好きだったから。
今だって、ずっと大好きだから。