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彼氏と陰口。
朝、教室に入ると、いつもと同じ空気が流れる。
みんな私を見て、いつものニヤニヤ顔をする。
私は実(みのる)といいます。
私は、美人から遠く離れた気持ち悪い顔をしている。
クラスには可愛い子が何人もいる。
そして、その子たちはみんな彼氏がいる。
美人だと評されていない他のクラスメートも、大抵は彼氏がいる。
――私だけ、彼氏がいないんだ。
それで、私は、クラスからちょっとしたいじめを受けている。
大きないじめじゃない。いつも同じ人から、ひそひそと陰口を言われるだけの、小さいいじめだ。
今日も、教室に入ったとたん、それが始まった。
「実、今日も可愛くなぁい」「こんなので彼氏できるわけないっつーの」
「こんな奴がクラスにいるなんて、サイアクー」「それなー」「ねえ見て!実が落ち込んでるー!ウケるw」
小声だけど、私にも聞こえてくるくらいの大きさの声で、
悪口をめっちゃ言ってくる。
先生が教室に入ってきたとたん、陰口をピタリとやめる。
ある日、私は屋上に呼び出された。
屋上に行くと、いつも陰口を言ってくる5人がいた。
私は戸惑って「えっと、何の用ですか・・・」と聞く。
5人のうち1人が、爆笑した。
「ウケるーッ!!何の用ですか、だって!!」
他の4人も笑いだした。
私は、悲しいを通り越して悔しくなってきた。
「何がおかしいの!?精一杯生きてるのに!!」
そう叫んで、屋上から飛び降りようとした。
5人は「精一杯生きてるんだって、笑えるー」と言いながら、飛び降りようとする私に気付かない。
私は飛び降りようとした。
でも、誰かに腕を掴まれた。
「え」と声を出しながら後ろを振り向くと、1人の男子がいた。
「なんで死ぬの?」と、私に問う。
「い、いじめられてるから、です」と私が言うと、男子は力強い声で言った。
「事情は知ってる。恋人ができないからっていじめられているんだろ?
じつは俺、実が好きだ。俺から見ると、実は一番美人だ。嘘じゃない。だから、付き合ってくれないかな?」
予想外の言葉から、私は黙り込む。
後ろでそれを見ていた5人が、呆気に取られている。
私とその男子は、付き合い始めた。
それからは、5人からの陰口もなくなった。