kn視点
kn「手…繋ぐ…?」
勇気を出して聞いてみた
俺、きんときは愛する彼と久しぶりのデートに来ている
背が高い彼は綺麗なブラウンの服を着て、でも少し男を感じさせる靴を履き、
茶色がかった髪をなびかせて歩く。
br「….え!?きんさんがでれた!」
kn「うるせぇ黙れ。手繋ぐ気失せたわ」
俺は彼の方に向けた手を降ろし、少し上にいる彼をにらむ
すると彼は俺の頭を撫でて笑う
br「あははw可愛いんですけど~」
悔しながら彼の笑顔や手はとても安心する
俺の天の邪鬼な性格を全て見抜かれたような、そんな感じが彼の頼れて、いいところ
まぁなんて言えないし、ショッピングモールなので、頭にある手を振り払う
br「え~ケチぃ」
すると今度は彼が不満そうに眉を寄せる
kn「あっそ」
「あ、俺トイレ行きたいんだけど」
めんどくさいので話を切り替え、俺は彼に言う
br「あー….おけ!!じゃあそこの椅子で待ってるね~」
kn「ん」
俺は一旦彼と別れ、手洗い場へ向かった
kn「…..そこの….椅子…」
俺は用を済ませ、彼がいるはずの場所に、小さな紙袋を持って行った
kn「……どこ…?」
しかし彼が見当たらない
どこ行きやがった…
kn「…あ…これ…」
ハンカチで手を拭きながら店を見上げる
彼の好きな洋菓子屋だ。
俺は少し口角を上げた
トイレが長いと思われても、これを出せばいい
そう思って俺はケーキを二つ購入した
俺だって、彼氏の喜んだ顔の一つや二つくらい見たい
なんて、本人には言えないけど
俺は少し軽い足取りで彼のいる場所へ向かった
kn「…..どこだよ….」
会ったら文句を言ってやろうと思い、彼を探す
すると、近づくと、女性の声が聞こえた
「お兄さんやっぱりカッコいいですね!」
「身長も高くてイケメンで…」
「一緒にそこのカフェでも…」
俺はすごく嫌な予感がした
人に囲まれて見えない先を見ると、予想は的中した
br「あ…あの~…僕、彼女いるので…すみません」
kn「……..」
俺はまた袋の紐を握りしめた
俺は無意識に唇を噛んで、女性たちを少し睨んでいた
でも、足も口も動かない
俺はただただその場に立ち尽くした
彼がモテるのはとっくのとうに承知済み
スラッとした体型と見合う身長
少しふわふわな癖っ毛に、ふわふわな喋り方、
誰にでも優しく、ピアノも出来て、料理もできる
女子受け悪いわけがないだろう
高校でも、ぶるーくのモテっぷりはイケメン生徒会長さえも顔負けだった
そんなのは、知らない訳がないけれど、
今は、俺が彼女だ。
今更ぶるーくの魅力に気付く奴らに軽々しくナンパなんてしないでほしい
と、だらだら思うが、この感情は俺は知らない感情だった
br「あ…!きんさん!!」
彼の声で目が覚める
俺は揺らぐ目で彼を見た
br「あ…ちょっすみません…
……きんさん!!お帰り!」
彼は逃げるように人混みから抜け出し、俺のもとへ来る
「えっ!?男…!?」
「うっそ….」
様々な声が彼の背中側から聞こえる
br「….行こっか!」
彼は俺の手を握り、再び歩きだした
kn「…….不快」
br「ごめんね…」
悪くない彼に、文句を垂れ流す
すると彼は俺の手を握る力を弱くし、小さい声で謝罪した
別に彼は悪くない。分かってはいるけれど、
この不快感にどう対処すればいいのか分からなかった
そもそも、こんな女子受け良い格好で、
しかも髪型もかっこ良くして、ナンパしてって言ってるようなもんじゃん
もうちょっと鏡をしっかり見て欲しい。
そして、彼女側の気持ちも、考えて欲しい。
これが彼の欠点
俺は別に、どっかのバカップル見たいに
『欠点も好きだよ♡』
見たいな、そんな変なことは思わない
彼の欠点は彼の欠点だし、俺の欠点は俺の欠点だ
これ以上でも以下でもない
ただ、欠点を受け入れて、どう対処するかまで考えてられるのが、本物のカップル。
そう思う
ただ..今回のことはどこか許せない自分が…
br「きんさん?」
kn「…!」
br「ごめんね….折角のデートなのに…」
kn「….いや…別に」
br「怒ってる….?」
kn「…..怒ってないよ」
br「嘘」
kn「………..ぶるーくには怒ってないよ」
br「………そっか….」
今回のデートくらい、俺の前で屈託のない笑顔を向けて欲しかった
欲張りだけど俺だけに、その笑顔を向けて欲しかった
俺だってこんな顔をさせたい訳じゃないけれど、俺の性格上慰めなんて出来ない
ひねくれ者でごめんね
こう言えたらどれ程楽だろう
さっきのナンパも俺が笑って過ごせるような性格だったら楽だっただろう
今頃は笑って、買い物が出来ていたのだろうか。
br「……きんさ…その袋….なぁに..?」
すると、彼が俺の小袋を指差していった
kn「………..」
あぁもうなぜこのタイミングなんだ。
kn「………お前の好きな洋菓子屋さん」
br「えっ!?」
kn「………..」
そっぽを向いて袋を押し付ける。
ごめんね。こんな可愛くない渡し方で。
この前彼は
『なんか~顔赤くしてお願いします!!っていってラブレター渡すのとか魅力的だよね~!』
と、言っていた
俺、真逆じゃん
顔赤いかわかんねぇし、お願いします!見たいなかんじじゃなくて押し付けてるし、
なんなの
br「ありがとう~!!きんさん!」
kn「…….!」
でも彼は、こんな顔をしてくれるんだ
俺だけの前で
しばらく歩いて、さっきの件も薄れてきていた頃、また事件は起こった
br「あっ!!悠斗~!!」
彼が知らない男に手を振る。
その手はまるで楽しそうに宙を舞って彼の元に近づいていく
「おお!ぶるーくじゃん!!お久~!!」
その男は俺達と同い年….だろうか…
俺より前で話す彼ら
彼らの笑顔は、楽しそうで、明るくて、
そんな明るすぎる笑顔、俺にはしなかったくせに
俺は自分の服にシワを作る
また立ち尽くして、唇に血が滲む
彼の笑顔が少し辛くて、
悔しかった。切なかった。虚しかった。
kn「….っ….。」
悲しかった。
ポツポツと俺の足元に水が落ちる。
あぁ俺、今泣いているのか。
でも、泣いてることにも、気付かない。
良いよ。俺は、真っ直ぐな君の笑顔が大好きだから。
本当の笑顔の君が大好きだから
その笑顔ができる人の側にいてよ。
その人は、俺では無いって分かったから。
無理させてごめんね。
無理に笑わせてごめんね。
最悪なデートでごめんね。
俺が彼女でごめんね。
「wwwwウけるw
…….って….え?」
「え、ちょっ….あの人泣いてるんだけど…」
br「え?」
俺はくるっと後ろを向いた。
もう帰ろう
彼は、俺じゃない誰かといる方がきっと、いや、確実に楽しい
俺が一歩踏み出した時、手首を掴まれた
br「きんさんっ!?!?」
kn「………..っ」
br「な、なんでっ….どうしたの!?」
なんで。なんて俺が聞きたいよ。
kn「ぅるさいッ!!もう離せよ!!」
kn「俺とのデートなのに他の人と話して、
俺のことほっとくし!!、俺の前では全然笑わないし!!」
kn「俺じゃ嫌なんでしょ!!嫌いなんでしょ!!」
死に者狂いで叫ぶ
視界が滲んで、涙で見えない
kn「…..なんなの!!…..ぶるっくなんてもう嫌いっ!!!」
子供見たいな言い方で、彼の耳に響かせる
br「………..ぇ…….き…..ら….」
彼の声に、後ろ髪を引かれながらも
俺は走ってショッピングモールの出口に向かう
怒ったはずなのに、俺の心にある一番の思いは、ごめん。だった
続く
コメント
8件
いや、きんさんかわよすぎ!!嫉妬じゃん!え?なに?まじで可愛いかよ!!
スゥゥウ( っ'О')一旦落ち着こう。私は正常なはずだ。よし。\( 'ω')/イヤアアァァァァアアアァァァァアアア!!!!
なんだこの感情は.... ...性癖にグサッた感覚が...する......ぅ。。。(死) 悠斗っていう人クラスにいて笑いそうになりまひた。^^