-登場人物-
笠木心平(かさぎしんぺい)
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「あいつはね、昔っから“面白くなきゃ嫌だ”って顔してるんだよ。
大学のサークルの頃からずっとそう。無邪気なふりして、実はすっごくプライド高い。
でも、それがネタになったときの強さっていうの?とにかく全力でやるから、巻き込まれる方は大変だよ(笑)。
“ねじまがりサンダー”で売れてきたあたりから無理しちゃってさ。気がついたら倒れてて、あのときは正直ヒヤッとした」
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現38歳。ボケ担当。大学サークルで芸人活動を始め、田原と「プリズム」を結成するも後に解散。
その後、秋野と出会い「ねじまがりサンダー」を結成し、ネタ作りの主導を担う。
演技・構成・笑いの設計まで強いこだわりを持ち、創作への集中が過ぎて心身を崩した過去もある。
現在は表舞台を離れているが、彼の作ったネタはいまだに根強いファンを持つ。
秋野大樹(あきのだいき)
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「秋野くんはね、最初の頃はとにかく壁が厚かった。
誰にでも笑顔なんだけど、本当の気持ちは全然見えない。
でも、春原くんとやってた頃からずっと、“面白いもん作るためなら嫌われてもいい”っていう頑固さはあったね。
笠木くんと組んでからは……なんて言うか、“無茶苦茶”を受け入れるようになった。
自分の考えが正しいって思いながらも、ちゃんと変わることを恐れないっていうか。
見た目も声もいいし、人気が出るのもわかるんだけど、実は一番繊細だったかもしれないね。
解散のとき、あんな顔するんだって、俺ちょっと……胸が詰まったなあ」
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現36歳。ツッコミ担当。
養成所を経て春原と「シンプルスター」を結成し、精密なコント構成とクールなツッコミで注目を集める。
その後のコンビ解散を経て、笠木と出会い「ねじまがりサンダー」を結成。以後、ライブと映像コントを中心に人気を拡大。
表向きは穏やかで社交的だが、内面では強い信念と葛藤を抱えており、ネタや相方への思いを簡単には口にしない。
“ねじまがり”時代はファン人気も高く、コンビの顔的存在だった
田原佳哉(たはらよしや)
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「田原くんね、俺すごく好きだったよ。あの人は“芸人っぽさ”が薄いっていうか、
あんまり人に媚びないのに、ステージではしっかり笑いを取る。
笠木くんとはまた真逆のタイプでさ、火がついてる相方を“まあまあ”って静かに見てる感じ。
でも、だからこそ成り立ってたんだよね、あのバランス。
プリズムが解散した時、ああやっぱり難しいんだなって……ちょっとしみじみしちゃったよ。
今どこで何してんのか、誰も知らない。連絡取ってる人もいない。でも、笠木くんが語るときの顔、優しいんだよね、今でも」
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現37歳。元「プリズム」ツッコミ担当。大学時代にサークルで出会った笠木とコンビを結成。
ステージでは冷静かつ鋭い視点からツッコミを繰り出し、構成の緩急を支えた。
芸に対して距離を取りながらも、ネタに入れば一変する集中力を見せた逸材。
プリズム解散後は芸能界から姿を消し、現在の所在は不明。
笠木にとって、最初に“本気”でぶつかった相方であり、今でも影響を残す存在。
春原雅人(すのはらまさと)
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「春原くんはね、すごく不思議な人だったよ。
いつも静かで、笑ってるような、何か企んでるような……でも、ネタを作るときは本気。
秋野くんとやってた“シンプルスター”はね、ライブシーンではかなり評価されてた。
彼のボケって、ちょっと変なんだけど、ちゃんと“おかしい”じゃなくて“面白い”になってるのよ。
秋野くんが変わっていくのに、春原くんは変わることができなかった。いや、変わるのを選ばなかったのかな。
あの解散のときも、泣きも怒りもせずに、“じゃあ、そうだね”って静かに笑ってた。
あれ、逆にキツかったんだと思うよ。秋野くんには」
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現41歳。元「シンプルスター」ボケ担当。柔らかな語り口と突飛な発想、豊かな演技力を武器に、
ライブコントで評価を集めた。秋野よりも年上の相方として、ネタ作りでも主導権を握る場面が多かったが、
精神的な消耗もあり、解散後は芸人活動から離れたと噂されている。
彼の発想やリズムは今なお“伝説のライブネタ”として語り継がれることがある。
─用語説明─
ねじまがりサンダー(笠木心平・秋野大樹)
2010年結成。コントを中心に活動し、端正なルックスと緻密なネタ構成で女性人気も高い実力派コンビ。
2019年後半、笠木の体調不良による活動休止を経て、2021年に解散。
プリズム(笠木心平・田原佳哉)
大学時代、お笑いサークルで出会った田原が笠木を誘い結成。
ネタ番組「ステップカーペット」出演をきっかけに注目を集めるが、方向性の違いと心のすれ違いにより解散。
シンプルスター(秋野大樹・春原雅人)
演創舎出身の同期コンビ。
独特の空気感と間で業界内でも評価が高かったが、春原の精神的な不調により活動休止・解散。
秋野はこの解散をきっかけに、別の道を模索し始める。
朝凪芸能株式会社
中堅の芸能事務所。芸人・タレントを中心に幅広くマネジメントを行っている。
「ねじまがりサンダー」は2010年から所属。
一時期は若手コント師の発掘に力を入れており、ライブ制作部門を中心に育成体制も整っていたが、現在は縮小傾向にある。
演創舎(えんそうしゃ)
お笑い芸人・俳優志望者向けの芸能スクール。実力主義の厳しい指導方針で知られる。
卒業生には「シンプルスター」など、業界で注目されるコント師も多い。
トライスターエンタテインメント
2000年代に活動していた小規模芸能事務所。
新人発掘に力を入れていたが、マネジメント体制の不備や経営難などにより、2011年に活動を終了。
「プリズム」はこの事務所からデビューしていた。
ステップカーペット
ネタ見せ番組。若手芸人の登竜門的存在で、コント・漫才・一発ギャグなど、ジャンルを問わず出演可能。
高視聴率を誇っていたが、2010年代中盤に放送終了。
「プリズム」はこの番組への出演をきっかけに世間に名前が知られるようになった。
コントグランプリ
毎年開催されるコントの大会。プロ・アマ問わず出場可能で、優勝者には賞金とテレビ出演のチャンスが与えられる。
実力主義で審査も厳しく、業界内での評価も高い。ある年に準決勝まで進出した記録が残っているが、決勝進出は果たせず。
その年のネタはファンの間で語り草になっており、「あのとき決勝に行っていれば…」と惜しまれることも多い。
特に“ラストシーン”と呼ばれる一本は、笠木の緻密な構成力と秋野の表現力が高く評価された。
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