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Broooock視点
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真っ黒な外套に身を包み、フードを目深に被る。
頭に叩き入れた裏道を足早に辿る。
Br「…ついた。」
重々しく閉ざされた門。
鬱蒼と茂った森の中に佇む基地。
ここで、ありのままの僕は終わりだ。
あとは、演じるだけ。
求められたものだけを遂行するマリオネット。
Br「さよなら、みんな。」
Br「さよなら。━━━━━━━━━━自分。」
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シャークん視点
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スマイルからの突然の報告。
Na「スマイル、それほんと?」
さっきまでの不安そうだった表情から一転。
『WT国総統』の顔つきになる。
sm「ああ、俺の部下が南西の方角の監視カメラで発見したそうだ。」
kr「まだ、準備段階ってとこか…。」
kn「めんどくさい連中だね。こっちも忙しいのに…。」
きんとき、爽やかな笑顔で怖いこと言わないでくれ。
sh「なかむ。」
Na「うん、分かってる。」
決意のこもったアクアマリンの瞳をキラリと輝かせる。
Na「戦争に勝って、ぶるーくさがすぞ!!!」
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Broooock視点
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Br「…ただいま戻りました。総統閣下。」
死んだように虚ろな目で、抑揚のない声で報告する。
K総「…任務は遂行したようだな。」
Br「…もちろんでございます。」
K総「No.29。」
Br「(ピクッ)…ッはい。」
K総「“あの国”に宣戦布告をした。」
K総「我が国に勝利を与えよ。」
Br「…承知致しました。総統閣下。」
━━━━━━━━━━━いやだ。
頭では『嫌』と拒否しているのに、体は動いてしまう。
いつ見られるかわからないから、涙は流せない。
Br『やだ……ッ』
Br『みんなを……傷つけたくない。』
もういっそ━━━━━━━━━━━━━━━。
僕の命と引き換えに、みんなを救ってよ━━━━。
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シャークん視点
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Na「緊急会議を始めるよ。」
ピリッと緊張感が増す。
Na「まず、K国のことについて。スマイル。」
sm「K国は。」
静かに。
しかし、彼の気配が鋭く冷酷になっている。
sm「軍事力は、そこそこ。俺らと同等か。」
sm「それに、K国が今宣戦布告を出したことに意味があるだろう。」
sm「恐らく、おまえらも気づいてると思うが……。」
sh「…ぶるーく。」
sm「ああ。そうだろうな。」
sm「K国はなにかしら、ぶるーくのことについて知っているだろう。」
sm「……取り返すしかないだろう。」
キラリとアメジストの瞳が鋭く煌めく。
kn「もちろん。取り返すに決まってるじゃん。」
kr「俺らの仲間に手を出したことを後悔させてやるよ。」
sh「…ひとつ残らずぶっ壊してやる。」
Na「俺たちを怒らしたら怖いからね。」
Na「じゃあ次、迎撃配置ね。」
Na「しゃけ率いる近距離部隊が前線維持。」
sh「りょうかい。」
Na「きんときが後方で医療支援。」
kn「おっけー。」
Na「いつもは、きりやんが中距離だけどしゃけの支援にまわってほしい。」
kr「神のきりやん様に任せろって。」
Na「……ぶるーくがいないから…。遠距離どうしようか…。」
空中の一点を見つめ、考え込むNakamu。
sm「…遠距離支援は俺がやる。」
…!?
Na「まじ!?スマイルが!?」
kr「はぁ!?マジで言ってんのか!?」
この2人が怒るのは当然。
普段戦場に出ないスマイルが出るなんて言うもんだから。
sm「…俺だって幹部だ。近距離戦より遠距離でスナイプする方が得意だ。」
その言葉だけで彼は口を結ぶ。
だが、強い意志を持つ紫の双眸に見つめられる。
Na「わかった。スマイルに任せる。」
Na「今回も絶対に勝って、ぶるーくを取り返す!!」
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Broooock視点
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基地内がバタバタと騒がしい。
なんとも、WT国が応戦するらしい。
やっぱりみんなだから勘づくかなぁ……。
Br「…できるだけ降参して欲しかったんだけど。」
そのほうが、『命』を取られずに済むから。
僕がどうにかして、みんなを逃がすのに。
ふと。
ドォォォォン!!!
Br「…ッ!?」
砲台の音か…!?
Br「行かなきゃ…っ!」
K国に来るまでに着てきた真っ黒な外套を被り、全力で走り出した。
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シャークん視点
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悲鳴
怒号
たくさんの音が響き渡る。
sh「はあっ。」
K国はWT国の戦力と同じくらいの戦力、兵量がある。
だから、前線を維持しにくい。
kr『シャークん!俺らの部隊も前線に…。』
sh「大丈夫だ!!きりやんはサポートを…!」
頼れない。
血臭まみれるこの地に来て欲しくない。
sh「…ぶるーくを返してもらうんだよ。」
視界がチカチカする。
軽い吐き気。
しかし、体の奥底から湧き出る高揚感。
…久しぶりだな、この感覚。
sh「…はぁっ!」
mb「なっ…!?目が黒く…?」
ぷつんと音が切れ、どさりと倒れる音を置き去りにして走る。
sh「先に行く…!」
mb1「え!?シャークん様…!?」
驚いたような表情から一変
俺の反転した目を見て納得がいったような顔になる。
mb1「いってらっしゃいませ!シャークん様!」
mb2「前線は私達が維持いたします!」
sh「頼んだ…!!」
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Broooock視点
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基地を出る。
外の世界は━━━━━━━━━━━━━。
地獄だった。
Br「あ…あぁ……。」
燃え盛る炎。
硝煙が上がる。
血の匂いが漂う。
その世界に絶望して立ち尽していると、見知った姿が。
sh「…ッ!」
美しい黒髪
輝く赤色のヘッドホン
そして
黒く染まった翡翠色の瞳
Br「シャークん…。」
やめてよ。
帰りたくなっちゃうじゃん。
…僕は、K国の人間なの。
でも、こんな国なんかに忠誠を誓いたくない。
WT国に、
総統のNakamuに、
幹部のみんなに、
忠誠を誓いたい。
だから、
僕がみんなを守るんだ…!!
グッと拳を握り、地を蹴った。
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シャークん視点
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sh「…ッ!」
ナイフを握る手から力が抜け落ちる。
それでも敵兵を殺める手はとめない。
sh「ぶるーくを…!仲間を返せよ…ッ!」
腕を振りきる。
血飛沫をあげて倒れる兵士
sh「…あ。」
辺りには首にまっすぐな紅色の線が入り横たわる死体
その中に立っている者はいなかった。
sh「…ぶるーくどこ…だ?」
霞む視界の中歩き出す。
刹那
背筋に悪寒が走る。
sh「…ッ!?」
バっと振り向く。
そこには。
横たわる人の中から黒光りする銃口が俺に向く
最後の力を振り絞るようにブルブルと震える
反応が遅れた。
避けられない。
sh「ッ…!」
思わず目を瞑る。
自分の身体を貫き紅色が吹き出す姿を容易に想像できる。
ごめん。
自分の“居場所”に帰れない。
ぶるーくをとりもどせなくてごめん。
みんな、あとは頼んだ。
訪れるであろう痛みを耐えるために奥歯を噛みしめる。
つんざくような銃声が鳴り響く。
その時
懐かしい気配が俺を包み込む。
驚いて目を開ける。
外套のフードを深く被った長身の男。
ちらりと覗いたタンザナイトのような瞳。
え…?
そう思うもつかの間
バンッ!
謎の男の身体を銃弾が貫く。
敵兵は力ついたように動かない。
??「…ッ!」
ガクンと大きく揺れた身体から血が吹き出す。
sh「おい…!」
地面にどさりと倒れ込んだ謎の男の外套をはぎ取る。
sh「うそ…だろ。」
ふわふわとした栗色の髪。
夜空そのものを閉じ込めたような瞳を苦しげに揺らす。
sh「ぶるーく…ッ!!」
インカムに電源を入れながら、とくとくと血が零れる傷口に手を押し当てる。
sh「ぶるーくッ!しっかりしろ!!」
sm『え…?ぶるーく…?』
sh「なんでッ!庇ったんだよ…!!」
目頭が熱くなる
俺の取り乱した声に勘づいたのか、インカムの向こうからバタバタと騒がしい音が聞こえる。
Br「シャーク…ん。」
Br「ごめ…んね。」
悲しげに笑う赤色の彼。
sh「ごめんってなんだよ…!」
Br「僕ね…、K国の幹部…なんだよ……。」
sh「え…?」
少しの沈黙が流れる。
Br「でも…こんな…国に。忠誠を…誓い、たくなかった。」
sh「…ッ!」
Br「シャークん。」
ぼんやりとしたタンザナイトの瞳が俺を見つめる。
Br「僕を。殺して欲しい。」
ぶるーくを…。
俺が……?
sh「やだ…っ。いやだよ…!!」
幼い子供のようにいやいやと首を振る。
Br「僕は…。死んで同然…のような……、事したの。」
Br「ね…?」
ぼろぼろと涙が止まらない。
Br「次は…もっと…、みんなと遊び…たいなぁ。」
Br「じゃあね…。」
そう言ったBroooock。
ぷつんと眠るように、目を閉じる。
sh「ぶるーく!!」
俺は、どれだけ無力なんだ。
ぶるーくが抱えていたものも一緒に背負えなくて。
一緒に悩んであげれなくて。
まだだ。
諦めない。
sh「絶対…!助ける!!」
グイッと涙を拭う。
sh「クッ…!」
頭一つ分くらい身長が高いBroooockを背負う。
少しでも基地の近くまで。
sh「待ってろよ…!ぶるーく…!!」
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きんとき視点
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sh『ぶるーくッ!』
その一言で、動きが止まる。
sm『え…?ぶるーく…?』
困惑したようなスマイルの声。
そんな声が聞こえないかのようにまくし立てるシャークんの声。
そのまま聞いていると、なんとなくわかった気がした。
kn「スパイだった…ってことかな。」
悲しいような。
でも、何処か憎めないような。
だって。
kn「ぶるーくは、俺らのこと大好きだもんな。」
そうじゃなかったら『殺して』なんて頼まないもん。
ん、
仕事の時間かな。
俺しかできない、大切な仕事。
それは━━━━━━━━━━━━━━━。
sh「きんとき!!」
sh「ぶるーくを……ッ!助けて…!!」
大切な仲間の命を救うこと。
kn「もちろん。」
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シャークん視点
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Broooockをきんときに預けてから1時間ほど
sh「…。」
sm「…あまり気に病むなよ。」
そんな声がかかると同時にポンと肩に手を置かれた。
ビックリして振り返ると、無表情ではあるが瞳には微かな心配の色が浮かんでいる紫色の彼。
Na「俺だって…きずけなかった。」
Na「みんな一緒だから。ね?しゃけ。」
大きな瞳に涙を浮かべながら笑いかけてくる水色の彼。
kr「ったく…。なんでそんなヤバいやつひとりで抱えてんだよ…!心配するだろバカ…!!」
怒りながらもぶるーくのことを心配する黄色の彼。
みんなぶるーくのことが心配で大切なんだ。
sh「…そうだな。」
からり
と、扉の開く音がする。
パッとそちらの方を見やると、
kn「お待たせ。」
少し疲れたような表情を浮かべる青色の彼━━━━━━━━━━━きんときがいた。
sh「きんとき!!」
kn「焦んないでしゃけ。」
にこりと、安心させるような笑みをたたえる。
kn「ぶるーくは生きてるよ。」
sh「良かった…!」
Na「グスッ、良かったよぉ…!!」
わあわあと声を上げて泣くNakamu。
安心したように、表情を緩ませるアメトリンの瞳を持つ2人。
kn「意識戻るのはまだになるけど…。」
kn「その間に、やること…。あるよね。」
真剣な表情をする青色の彼。
sm「…もう、検討はついている。」
sm「話すから、場所を変えよう。」
談話室にて。
sm「K国についてもう一度情報を洗いなおした。」
sm「…単刀直入に言おう。」
sm「ぶるーくは、K国の幹部であることは間違いない。」
シンとした空気が広がる。
Na「それは確定なんだね。」
sm「ああ。幹部リストの中にぶるーくに似た人物いた。」
kr「…そうか。」
ちょっと待て。
sh「スパイなら。」
4つの綺麗な瞳が俺に向けられる。
sh「“本当の”スパイなら、もっとさっきの戦争は苦戦するんじゃないか?」
だって、全ての機密情報が敵国に渡ってるんだから。
sh「さっきの戦争は苦戦していない。」
sh「なんなら、俺らの部隊が潜入成功してK国の総統を捕らえていることも事実だ。」
だから…!!
sh「俺は、二重スパイなんだと思ってる。」
これが俺の出した答え。
間違っていて、後々ぶるーくが俺らを殺しに来ても。
俺は構わない。
sm「…そうだな。」
sm「俺もそうだと思っている。」
…本当に?
kr「まあ、そうだろうな。」
Na「俺もぶるーくと同じ立場ならそうするだろうな。」
kn「だって、ぶるーくは俺らのこと大好きじゃん。」
kn「それと同じぐらい、俺らもぶるーくのことが好きだけどなw。」
そうか。
みんな…同じ気持ちだったんだな。
sh「…ありがとう。」
Na「さ!あとはぶるーくの目が覚めるのを待ちますかぁ!」
kr「説教は確定だな。」
sm「…ぶるーくご愁傷さま。」
kn「スマイルはサラッと殺すなよw。」
sh「ww」
また1ヶ月程だったある日。
sh「…。」
今は、ぶるーくが眠るベットの横で書類をまとめている。
sh「…ふわぁ。」
Br「シャークんも眠いんだ。」
sh「…ッ!」
振り返るとベットに上半身を起こしているぶるーくの姿。
Br「おはよぉシャークん。」
夜空のように煌めいたBroooockの瞳を見つめる。
sh「…おはよ…ッ!ぶるーくッ!」
ギュッとぶるーくの暖かくて大きな手を握る。
sh「ぶるーく。」
Br「ん?なあに、シャークん。」
sh「ぶるーくがスパイだとしても。」
sh「俺らはいつまでも仲間だから。」
その言葉を聞いたぶるーくは。
涙を浮かべながら…。
Br「ありがとう、みんな。」
Br「僕、Broooockはみんなに改めて忠誠を誓うよ。」
Br「僕らは仲間だよ。」
———❥❥❥🅔🅝🅓
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軽くあとがき
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随分遅れました。
後編でございます。
最後の部分で力尽きてしまいました。
要望、続きが見たいという意見があれば書くと思われます。
初のリクエスト作品でございますが、こんな感じで良かったのでしょうか…?
不安いっぱいです。
こんな感じで良ければ、何時でもリクエスト募集中ですので、お題箱やコメント欄に放り込んでいただければ、確認いたしますのでよろしくお願いいたします。
では、この辺りで。
ここまで読んで下さった貴方に感謝を。
凛花
コメント
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うわぁぁぁ(*ノД`*)・゚・。 めっちゃいい話でした...本当に天才じゃんッッ(`;ω;´)号泣しちゃいましたよ...お疲れ様でしたゆっくり休んでくださいね!自分のスペースで投稿してくたまさいね!
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