テラーノベル
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第3話:何も言わない同居人スープを飲み干すと、足元にモコモコした温かい気配が寄り添ってきた。
飼い猫の「トラ」だ。トラは「ニャー」とも鳴かず、ただ私の足に擦り寄ると、膝の上に飛び乗ってきた。
「ただいま、トラ」
頭を撫でると、ゴロゴロと低いエンジン音のような鳴き声を響かせる。その振動が膝から心臓まで伝わってくる。
トラは「今日どうだった?」とも聞かないし、「元気だしなよ」なんて慰めてもこない。ただそこにいて、温かい体温を分け与えてくれるだけ。
何も語らない毛玉の重みを感じながら、背中をゆっくりと撫で続けた。言葉のない時間が、傷ついた心を少しずつ撫で平らげてくれた。
コメント
1件
読了しました🌷 このエピソード、とても好きです。スープを飲み干した後の、何も求めずただ体温を分け与えてくれるトラの存在。言葉のない時間が心を撫で平らげるという描写に、とても深い共感を覚えました。「何も言わない同居人」というタイトルが、猫と主人公の関係性を完璧に表していて、胸がぎゅっと温かくなりました。遥斗さんの繊細な筆致、素敵です。