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翠玲
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翌朝。
高校の正門は、いつも以上に騒がしかった。
「おはよう!」
「昨日見た!?」
「見た見た! 全財産だよ!?」
「歴代最高額更新って学校ニュースにもなってた!」
登校してくる生徒たちは、みんな同じ話題で持ちきりだった。
『生徒会長・みこと、全財産で二年生を落札』
たった一日で学校中どころか、恋愛オークション制度を導入している学校の間でも噂になっていた。
その中心人物であるこさめはというと――。
🦈「……はぁ。」
小さくため息をつきながら、校門の前で立ち止まっていた。
🦈「学校、行きたくないなぁ……。」
🦈「いや、来てるんだけど‥」
昨日のことが夢だったらよかった。
そう思って何度もほっぺをつねったけれど、ちゃんと痛かった。
つまり現実。
🦈「絶対見られるよね……。」
恐る恐る校門をくぐる。
すると。
「あっ!」
「いた!」
「こさめだ!」
一瞬で何十人もの視線が集まった。
「昨日の子!」
「会長に二億ポイントで落札された!」
「写真撮っていい!?」
「どんな気分なの!?」
一気に囲まれ、こさめは肩を震わせる。
🦈「え、あ……その……。」
質問が次々飛んでくる。
返事をしようにも、何から答えればいいのかわからない。
🦈「ご、ごめんなさい……。」
困って一歩下がった、その時。
?「はいはい、そこまでー。」
聞き慣れた声が響いた。
?「そんなに囲んだらこさめ困るでしょ。」
人混みをかき分けて現れたのは、髪を無造作に整えた少年だった。
🦈「なつくん!」
🍍「朝から人気者じゃん。」
なつはにやっと笑うと、こさめの前に立つ。
🍍「はい解散解散ー。質問タイムはまた今度!」
「えー!」
「だめなのー。」
軽い口調なのに、不思議とみんな従ってしまう。
ようやく人が散っていき、こさめはほっと息を吐いた。
🦈「ありがとう、なつくん……。」
🍍「気にすんな。」
頭をぽんぽんと撫でられる。
🍍「朝から大変だったな。」
その時。
🌸「こさめ。」
今度は優しい声が聞こえた。
振り向くと、笑顔を浮かべた少年が立っていた。
🦈「らんくん!」
🌸「おはよう。」
らんが微笑む。
🌸「ちゃんと眠れた?」
その一言だけで、こさめは少し安心した。
🦈「……あんまり。」
🌸「だよね。」
らんは苦笑する。
🌸「昨日は俺でもびっくりしたもん。」
三人は同じ二年A組。
一年生の頃から仲が良く、休み時間も昼休みも、ほとんど一緒に過ごしていた。
🍍「それにしてもさ。」
教室へ向かう廊下を歩きながら、なつが横目でこさめを見る。
🍍「まさか会長が全財産ぶっ込むとは思わなかった。」
🦈「……こさめも。」
🍍「会長と話したことあった?」
🦈「昨日が初めて……。」
🍍「だよなぁ。」
なつは腕を組む。
🍍「絶対なんか理由あるよ。」
らんも静かに頷いた。
🌸「みこと先輩って、衝動で動く人じゃないもんね。」
🦈「うん……。」
でも、その理由が思いつかない。
昨日聞いても、「まだ秘密」としか言われなかった。
考えれば考えるほど、わからなくなる。
教室へ入ると、また空気が変わった。
「来た。」
「こさめだ。」
「おはよう!」
「昨日すごかったね!」
クラスメイトが一斉に声を掛けてくる。
悪意はない。
みんな純粋に興味津々なのだ。
🦈「えっと……お、おはよう。」
ぎこちなく笑うこさめ。
席に着いても視線は止まらない。
教室中がひそひそ話をしている。
🍍「見られてるな。」
なつが笑う。
🦈「うぅ……。」
こさめは机に突っ伏した。
🦈「穴があったら入りたい……。」
らんはそんな様子を見て笑う。
🌸「そのうち落ち着くよ。」
🦈「……そうかな。」
🌸「うん。」
その時だった。
ガラッ。
教室の扉が開く。
担任かと思って全員が振り向く。
しかし立っていたのは。
「え……。」
「会長!?」
教室中がざわつく。
そこにいたのは、みことだった。
制服をきっちり着こなし、穏やかな表情のまま教室へ入ってくる。
三年生が二年生の教室へ来ることなど、滅多にない。
しかも相手は、生徒会長。
みことは教室を見回すこともなく、真っすぐこさめの席まで歩いてくる。
一歩、一歩。
静かな足音だけが響く。
こさめの心臓はどんどん速くなっていく。
🦈「こ、こんにちは……。」
思わず小さく頭を下げる。
みことはふっと笑った。
👑「おはよう、こさめちゃん。」
昨日と変わらない、優しい声。
教室中の視線が二人に集まる。
なつは「おぉ……」と目を丸くし、らんも静かに成り行きを見守っていた。
すると、みことは制服のポケットから一枚のカードを取り出し、こさめの机の上にそっと置いた。
そのカードは生徒会室入室券的なもの
生徒会長が用事なくても部屋に入っていい人に渡すカード
生徒会の人たちはもちろん、委員会の委員長なども持っている
👑「放課後、少し時間もらえるかな。」
👑「ちゃんと昨日のこと、説明したい。」
こさめはカードとみことの顔を交互に見つめる。
断る理由なんてない。
でも、胸の奥は不安と緊張でいっぱいだった。
🦈「……ひゃ、ひゃい。」
小さく頷くと、みことは安心したように微笑む。
👑「ありがとう。」
そう言って教室を出ていくみこと。
扉が閉まった瞬間――。
「「「きゃあああああ!!」」」
教室は一気に大騒ぎになった。
「会長が直接迎えに来た!」
「しかも名前呼び!」
「放課後って何!?」
「説明って何の説明!?」
質問攻めにされるこさめは、真っ赤な顔で助けを求めるようになつとらんを見る。
しかし二人は顔を見合わせると、苦笑いしながら肩をすくめた。
🌸「……こりゃ、今日も平和には終わりそうにないね。」
その一言に、こさめは机へ突っ伏しながら、小さくうめき声を漏らすのだった。
コメント
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みぅ🤍🥀です〜。第3話「朝」、読み終えました! もうね、学校中の視線がこさめちゃんに集中してる感じがすごく伝わってきて、こっちまで緊張しちゃった…🥀 なつくんとらんくんがフォローに入ってくれる安心感、でもみこと先輩が直接教室に来ちゃう展開には「えっ!?」って声出た。カード置いて「放課後」って言う余裕、重すぎて好きです🤍 次、ちゃんと説明してくれるのかな…こさめちゃんの気持ち考えるともうドキドキが止まらないよ〜! 続きが待ちきれないです✨