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若井と付き合い初めて3ヶ月が経った。
友達期間が長すぎたせいで、最初はどう接していいか分からなくなって、まるで中学生の恋愛みたいだった。
「元貴、おやすみ。」
「おやすみ。」
ーちゅっ
否、だった…ではなく、現在進行形だ。
何度も言うが、付き合い初めて3ヶ月。
ぼく達はキスから先に進めていない。
しかも、キスもほんの少し触れるだけの軽いキス。
ぼくだって男の子だ。
好きな人とキスから先に進みたいって思うし、色々…その、我慢の限界もきてる。
初めのうちは、キスからその先のやり方が分からないのかも…と思ったけど、若井は別に童貞な訳じゃないし、このご時世インターネットと言う便利なモノがあるからやり方なんてすぐに調べられるはず!
現にぼくは調べたし、それにそういう行為の際、受ける側は多分ぼくだと思うし、若井への負担なんてそんなないはずだ。
なので、ぼくの中でやり方が分からないと言う理由は消え、次に考えついたのが、大事にされてるってこと。
でもそれも2ヶ月目消えた。
大の大人が2ヶ月も好きな人とほぼ毎日一緒に寝てるのに、いくら大事にしてるからと言って、手を出して来ないなんておかしすぎる!
それにぼくは若井と、ずっと友達だったから若井が変態なのは知っている!
そして、3ヶ月目で今の考えに辿り着く。
もしかして、ぼくと付き合って後悔してるんじゃないかって。
だって、若井…おっぱい好きだし…
やっぱり男のぼくとは付き合えないって思ってるんじゃないかって。
でも、そんな事聞ける訳もなく、今日も若井の寝息を聞きながらそっと目を閉じた。
今日は若井が別仕事で明日朝早い為、泊まりに来ない日。
ぼくはぼくで一日中作曲作業の為、今朝、若井を見送ってからずっと家に缶詰め状態だった。
朝からずっと作業をしていて、気付けば夕方。
一息入れようとベッドに倒れ込む。
…枕に顔を埋めると、若井の匂いがした。
「…若井のばか。」
先に言っとくけど、ぼくは性欲が強い方ではないと思う。
でも、ずっとお預けを食らってると、ぼくだって…
気付いたら若井の匂いを嗅ぎながら自分でシていた。
好きな人の匂いをオカズにするなんて、まじで中学生かよ!と自分にツッコミをいれる。
こんな事しても虚しくなるだけなのに、自分のモノを扱く手は止まらない。
「んっ…はぁっ、ん、足りない…。」
それどころか後ろが疼いて堪らなくなる。
ぼくはベッドサイドのテーブルの引き出しの奥の方からローションを取り出すと指に垂らし、慣れた手つきで疼くソコに指を挿れた。
「…っ、ん、、ぁっ、」
実は、ネットで男同士のやり方を調べた時に、男同士の場合、少しずつ慣らしていかないとすぐに挿らないって書いてあったし、ローションは必須とも書いてあったから、自分でローションを買って、若井が泊まりに来ない日に少しずつ慣らしていた。
だって、もしその時になって、挿らなかったら、萎えちゃうだろうし、男同士って面倒臭いんだなった思われたくないし…
とにかく、自分で出来る事はやっておこうと思って、今に至る。
初めはすごく痛くて、ココにアレが挿るなんて絶対無理だと思ったけど、回数を重ねる毎に、痛みから違和感になり、今では…
ぐちゅぐちゅぐちゅ…
「ぁっ、んんぅ…くっ、あ、、」
自分のイイ所も分かり、指もスムーズに動かせるようになった。
「んぅ、あっ…イキそ…。?!?!」
前も一緒に扱き、あと少しでイけそうと言う時に玄関のドアが開く音が聞こえた。
家の合鍵を持っている人なんて限られているけど、用もないのに入ってくる人なんて一人しかいない。
靴を脱ぐ音、そして廊下を歩く音が聞こえる。
急に冷静になった頭で考える。
まずは服を着なきゃと、周りを見渡すとベッドの周りズボンとパンツが脱ぎ捨てられていた。
「元貴ー?いないのー?」
すぐ近くから声が聞こえる。
履いてる時間はないと判断し、とりあえずズボンとパンツを回収し、使いかけのローションと裸のままの下半身を掛け布団で隠した。
ーガチャ
「あ、ごめん。寝てた?」
ドアから顔を覗かせたのはやっぱり若井だった。
ベッドの上に居るぼくを見付けると少し申し訳なさそうな顔をした。
「大丈夫!てか、今日若井来ないんじゃなかったっけ?」
大丈夫…バレてない。
「急に来てごめん。仕事早く終わったし、やっぱり元貴の顔見たくて来ちゃった。」
へへっと笑う若井に胸がキュンとする。
嬉しくて顔が緩みそうになるけど、今はそれどころではない。
でも、ぼくの顔が見たくて来てくれたって事は、少なくともぼくと付き合って後悔してるわけではなさそうで安堵した。
だけど、後悔してるわけじゃないって事は、もしかして好きだけど男とはやっぱり出来ないって事…?
だとしたら、今の状況は非常にまずい。
若井の匂いにムラムラして一人でシてましたなんて…ドン引きどころか、嫌いになられてもおかしくない案件だ。
ぼくはどんどん冷静になれなくなっていく頭で必死に考え、結果とりあえず若井を寝室から追い出す事にした。
「すぐリビング行くから、リビングで待ってて。」
いつもなら絶対もっとマシな事言える筈だし、挙動もおかしい自覚はある。
焦ってるせいか、なんかいつもより声デカくなっちゃってるし。
「元貴、なんか変だけど大丈夫?」
若井もそんなぼくの様子を変に思い、寝室から追い出すどころかドンドン近づいてくる。
ぼくは布団を握る力が強くなる。
「なんかよく見たら顔も赤いし、もしかして熱ある?」
そして、ぼくのおでこに手をやろうとベッドに座った瞬間…
ゴリッ
終わった…。
「痛!ん?なんかある。」
固まるぼくを他所に若井は布団の中に手を突っ込みソレを取り出した。
「…ローション?」
一瞬、なにこれ?と言う顔で手で掴んでるソレを見ていたが、ローションだと分かった瞬間、ぼくと目が合う。
「あ…ちが…」
条件反射で若井から出来るだけ逃げようと下半身は、布団で隠したまベッドの端っこに逃げる。
すると、今度はローションと一緒に隠してたズボンとパンツが…
「…やば。」
ぼくの状況を完全に理解した若井は口元を抑えてそう呟いた。
「ぁ……ごめんなさい。」
何に謝ってるかは分からないけど、謝るぼく。
これで終わりなのかと思ったら涙が溢れてきた。
「え?!元貴、なんで泣いてるの?!」
「っ、だって…引いたでしょ?…嫌いに、なったでしょ?」
「はあ?!そんなわけないじゃん!」
若井はそう言うと、急いでベッドに上がりぼくの肩を掴んだ。
もう終わりなんだと思ってるぼくは不安に思ってた事を全部さらけ出す。
「うそだ!だって…じゃあ、なんで手出してくれないの!!」
「それは…!」
「若井はやっぱり女の子が好きなんでしょ?!男のぼくとはできないんでしょ?!」
「ごめん。」
「ぅぅ、、やっぱり…」
ああ、本当に終わりなんだ…
そう思った瞬間、若井はぼくを引き寄せ抱きしめた。
「ごめん…元貴にそんな事思わせてたなんて。」
「え?」
「ヘタレなおれが全部悪いから!」
「……嫌いになってないの?」
「なるわけないじゃん!!!」
「…じゃあ、引いてない?」
「引くわけないじゃん!むしろ…あー!最悪!」
「やっぱ最悪なんじゃん!」
「そうじゃなくて!大事な人との最初は大事にしたいじゃん! 」
「ピュアか!中学生か!」
「仕方ないじゃん!元貴の事好きになったの、中学生の頃だもん!」
「それは…!ぼくもだけど!…でも…ぼく達もう大人だよ?」
最初は状況が掴めず混乱したけど、状況を理解した頃にはいつものぼく達になっていた。
「…結局、お互い意識しすぎてたって事だね。」
「そうだね…なんかバカみたい。」
お互い照れるように笑い、目が合い、キスをした。
「ねえ、ところでその下どうなってんの?」
仲直り?出来たところで、ニマニマしながら聞いてくる若井。
そして、下半身丸出しだった事を思い出すぼく。
「わー!あっちいって!!」
急に恥ずかしくなり、ジタバタする。
「ねえ、布団邪魔なんだけど!」
「やだ!無理!」
「みーしーて!」
「いーやーだ!」
バッ!!!
「やば。」
激しい攻防戦の末、最終的には若井に布団を剥ぎ取れ、隠してたモノが全部露わにされた。
ぼくのあられもない姿を見た若井はまた呟く。
今度は口元を隠していなかった為、さっきのもそう言う意味だったんだと理解した。
どんな顔をしてたのかと言うと、えっちな本の袋とじを覗いてる時の顔。
「見ないで!」
ぼくは着てたTシャツを限界まで伸ばして下半身を隠しながら最後まで悪あがきをする。
「ねえ、恋人のこんなえっちな姿見て、我慢出来ると思ってるの?」
「急な恋人呼びはずるいっ。」
少しずつ近寄ってくる若井にドキドキする。
「なんで?おれ達、恋人でしょ?」
「そう、だけどっ。」
そして、ついに目の前に。
「おれ達、もう大人だもんね?」
「…その顔、ずるい。」
若井は左側の口角だけ上げてニッと笑うとぼくをベッドに押し倒した。
コメント
5件
2人が可愛すぎて悶絶しています‥夜中に癒しをいただきました、ありがとうございます😭
やばい、かわちすぎてにやにやが止まりませぬ…ちょっと私の口角知りません?
もっくんきゃわちい