TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

バスを降りると すぐに明那はスマホを取り出し、耳に当てた。

コール音は聞こえない。


夏の少し手前の ぬるい空気が皮膚にはりつく。


akn「あ もしもしふわっち?」


用水路を見やって 明那の声を背景にする。


akn「ごめん、さっきバス乗ってたから出れんかった」

「そうそう。大学だった」

「あ、今は大丈夫」


うんうんと頷きながら、明那は喋る。

私は耳を澄ませてしまう すべての音に。



と、そのとき、トラックが通った。ごおおおお と唸りながら。


明那は聞き取れなかったようで「ちょっと待ってごめん」と言いながら、

手を持ち替えようとして、指がスピーカーボタンに触れてしまったらしい。


fw「アキナ今日飯行かんー?」


ふわっちさんの声が響いた。


明那は慌ててスピーカーを切り、「今日ちょっとねぇ」と私の顔を見る。


なに? と口パクで聞けば、なに? と口パクで聞き返される。

私の知っているような 知らないような微笑みで。


私はほとんど衝動的に口を開いた。


『ふわっちさんと三人でご飯食べたい』


「エッ」



明那は少し驚いたような表情で、ちょっと待って、と言ってから、

ふわっちさんに何かを説明しているようだった。


akn「……じゃあスピーカーにするよ?」


そうして明那は、私にスマホを渡してきた。

えっ私が持つの?


『あの……ふわっちさん?』


少し熱いスマホに向かって話しかける。

明那の体温……いやそれはキモいかさすがに。


fw「はいもしもし〜 菜央ちゃん?」


『あっえっ? 菜央です……』


fw「アキナからよく聞いてるで〜」


『えっ何を』


パッと顔を上げれば、明那と目が合った。

好きよりもっと「貴重」な気持ち

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

35

コメント

2

ユーザー

へ!?いい話であることに100票!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚