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神作過ぎて怖い… 続き楽しみにしてます!

続き楽しみにしてます(*^^*)
四季君先生if
四季受けと書いてありますが腐要素はこの話は多分無い。
微妙に繋がってなかったりします
同期組と後輩同期組が生徒
キャラ変注意(四季君のみ)
(教室ってここだよね…)
(鬼とはいえど、同じ学生!!)
(少しぐらい仲良くはなれるはず!)
分厚い引き戸の前で数回深呼吸をして花魁坂は勢いよく扉を開けた。
「よろしく〜…」
「…」
「チッ…」
(どうしよう初っ端から仲良くできる気がしない…)
花魁坂を一瞥した後に小説に目を戻す生徒。
死んだ魚のような目をして舌打ちをしてきた生徒。
その他数名。
(俺やってける自信ない…泣)
「席に着け」
グッと拳を握りしめて顔を顰めた花魁坂の後ろに気配一つ出さずにそいつは現れた。
静寂だった教室に靴音も空気が擦れる感覚も起こさずに、突然現れた男に皆が驚愕する。
レンズが分厚い黒縁眼鏡とセミロングほどの濃紺の髪。
「ようこそ羅刹学園へ、担任の一ノ瀬四季だ」
一ノ瀬四季とだけ名乗った教師は、教団の前に立ってその一言だけを伝えた。
「今年は異例の事態で、無蛇野をはじめとする3人と、並木度をはじめとする5人」
「計8人の合同学年となる」
質問は。と顔を上げて問う四季に、はいはーいと花魁坂が手を上げた。
「…お前は」
「花魁坂京夜です!」
「そうか、でなんだ花魁坂」
(この先生感じ悪いって言うかちょっと怖いなぁ…)
「先生のことはなんて呼べば良いですか?」
「好きに呼んで良いぞ」
「じゃあ、クソ教師でも良いのかよ?」
ニヤリと口角を上げたまま四季に言う。
「淀川真澄か…」
「俺と判断できる呼称ならなんでも良い」
真澄の挑発にも乗らずに四季は興味がないとでも言いたげに視線を外す。
「要件は終わりか?」
再度教室には静寂が戻った。
「じゃあ、お前らは自己紹介でもしてろ」
「それが終わったら部屋決め、最後に軽く体力テスト。」
言い終わって黒板に部屋番号を書き出す四季。それを横目に花魁坂たちは円を組むように席を移動する。
「俺は、さっきも聞いたと思うけど花魁坂京夜。よろしくね!」
「無蛇野無人だ」
「…淀川真澄」
「あ〜…並木度馨です」
「印南幽だ!ゲホッ…素晴らしい出会いに感激している」
「え…大丈夫ですか?自分は猫崎波久礼と申します」
「百鬼大我だ!」
「朽森紫苑でーす、好きなのは女の子〜」
ぐるり一周自己紹介が終わった、次は部屋決め…
「あの、一ノ瀬先生」
「並木度か、どうした」
「部屋決めなんですけど、一部屋何人ですか?」
チョークを置いた四季は顎に手を当てる。
「言っていなかったか…一部屋2人だ」
「ありがとうございます」
「って事らしいんですけど、希望ありますか?」
「無いですよね…」
「くじ引きでもする?」
紫苑が思いついたままくじ引き案をに言えば、沈黙という形で可決になった。
「せー…の!!!」
割り箸に書かれている数字に一喜一憂している生徒をレンズ越しに見つめる四季は口を少しだけ緩めた。
「決まったら、確実部屋に向かってくれて構わないぞ」
「教科書や制服は廊下に並んでいるから自分のを取って部屋に入れろ。」
「部屋ってどこっすか?」
「朽森紫苑だな、今から案内する。着いてこい」
言い残して教室を後にした四季を追いかけようと駆け出した。
「ここだ」
「俺は1番端の部屋」
そう言って入り口から1番近い部屋を親指で指差した。
「なんかあったらいつでも来い」
「15分後には体力テストを開始できるように準備しておけよ」
「片付けが終わった奴から、廊下集合だ。」
片腕を肘上まで上げて腕時計を見つめる。
「スタート」
その声と同時に腕は振り下ろされた、つまり今から15分以内で部屋に教材やらなんやらを運び込めと四季は言った。
(コイツ/この人/この先生鬼かよ!!!)×8
〜10分後
「全員終わったのか…」
肩で息をしていたりする自分の生徒を見て呟く。
「予定よりもはえーな」
「良くやった」
四季は一瞬だけ口角を上げた。
「じゃあ行くぞ」
また移動するのか…とうんざりしながら後を着いて歩く生徒達。
「今日やるのは鬼ごっこだ」
この人急に何言ってんだ…再び生徒の心の声が一致した瞬間だった。
「時間は前半10分後半10分の計20分その間に俺を捕まえろ」
「ルールは簡単」
「1、血を使っても良い」
「2、物理的な攻撃も良い」
「3、俺に一部でも縄を巻ければ即終了」
指を立てて説明する四季。
「そして…最後に」
「俺は血を使わない」
「!」
「チッ…おい、クソ教師舐めてんのか?」
「ただのハンデだよ」
「君たちの倍は生きているからね…」
濃紺の髪を掴んで一括りにする。髪に隠されていた右耳は裂傷によって一部が欠けていた。
「作戦会議は好きにしてくれ、5分後に俺が向かう」
四季の声が終わるのが先か、花魁坂達が走り出すのが先か。残っている砂埃からは判断できない。
「5分経ったか」
フェンスを潜った瞬間四季を狙うのはライアーライアーを使ってフェンスに化ていた猫先。けれども猫先の回し蹴りを四季は軽く躱すと同時に透明化した真澄からも距離を取る。
片足で飛び着地した途端に数本の弓矢が四季を狙う。
「1番最初の油断している瞬間に攻撃を仕掛けるか…」
「悪くない、けれども…」
「まだ甘い」
いつの間にか前髪から目が覗いていた猫咲の素手による攻撃もヒラリと躱して背負い投げる。
透明化が消えている真澄は小柄な体型を活かして体術戦に持っていくものの、全て避けられる。猫咲と真澄は逆に四季が持っていた縄でぐるぐる巻きにされてしまう。
背を伸ばし、パキリと音が鳴った背中に小さい金魚が通った。
紫苑の水射魅が四季の黒シャツを喰いちぎっていく。避けた地面の無蛇野の血で作られた傘が突き刺さっている。
避けるか。と見を動かそうとした四季は足が動かない事に今更ながら気付いた。
「先生には悪いと思うが、止まってもらゲホッ!!」
血を吐きながらそう言った印南。樹の上から雨過転生を放つ無蛇野、水射魅で細かくダメージを与える紫苑。
拘束したはずの2人は馨によって縄が解かれ花魁坂血で負傷は無くなり自由の身になっている。
「初日でこの団結力は凄まじいな。」
素直に感嘆を落とした四季に、してやったりとニヤついた無蛇野達。けれど四季の口からは再度聞こえた。
「でも、甘い」
足元に落ちていた太めの枝の端を踏んで上へと飛ばして握る。
たった一振り、枝の一振りだけで雨過転生も水射魅も吹き飛ばされてしまった。
足の拘束も取れて、生徒に一撃入れようとした途端に四季の腕時計が鳴った。
「前半終了だ」
「確実水分補給なりしてこい」
「5分後に再開する」
そう言った四季に前髪を下ろした猫咲が近付く。
「一ノ瀬先生、後半先生も血使いませんか?」
「先生の力が見てみたいですし…」
丸いマッシュヘアから猫耳のようにピョコンと毛が跳ねた。
「舐められてんのも癪だし」
猫咲の提案に皆賛成だった、ここまで追い詰められたのだから血を使っても五分五分にはいけるだろう。そう驕ってしまった。
「…わかった。」
「ゴム弾にしてあるから貫通はしないだろう?」
「痛みは変わらないけどな」
地面に倒れ込んでいる8人に向かって四季は話しかける。もれなく全員縄に巻かれた状態で。
時間にして3分にも満たなかった。悔しいと歯を噛み締めている生徒を四季は眺める。
圧制。
正座の状態にさせられた全員の背中に銃を構えたまま、足を組んでいる。
ちなみに血の使い過ぎでダウンしている花魁坂は四季の膝に頭を乗せ、酔っているような状態の並木度は肩を借りて頭をもたげている。
「まずは、無蛇野無人。」
「お前はこの中で誰よりも血の使い方が上手い。基礎的な体力も申し分ないが、もっと食って体重を増やせ。以上」
「次、淀川真澄」
「透明化の持続時間を延ばしてみろ、あとは体術。近接戦をまずは極めて行ければもっと能力を活かせる。相手の隙を突いたり動揺させる力は現状で満足せず伸ばしていけ。」
「花魁坂、と並木度は後に回す…」
「百鬼大我」
「お前は、バリアの種類を増やしてみろ。時間、強度、枚数。いつでも変更できるようにしてみろ、と同時に自分を捨て身にして戦うな。」
「次、猫咲波久礼」
「姿形だけじゃなくて、呼吸や足運びをよく見てみろ。目は良いんだろう?できるはずだ。近接戦のセンスは悪くはない。」
「印南幽」
「攻撃の溜めがネックだ。その時間を少しでも縮めてみろもしくは、それを利用した攻撃を学べ。拘束や弾き飛ばす攻撃は良いと思う」
「次、朽森紫苑」
「まずは金魚の攻撃力の増加又は数の増加だな。遠距離からも攻撃できるようにしてみろ。技自体は捨てたものじゃない。…と女子教務員をナンパするな」
無蛇野達は黙りこくる。痛いところを突かれたことも原因だが、1番は能力体術を遠回しながらも褒めてもらった事に。
大人びて見えていても、未成年である事に変わりはない。
「さて、戻るか」
縄を1人ずつ外して行って、青い顔をした花魁坂を抱き抱えた。頭を押さえている並木度と歩幅を合わせながら四季は保健室へと向かった。
「ここで寝てて良い」
「回復次第水分を取って風呂に向かえ。他の奴にもそう言ってある。」
花魁坂と並木度のベットの間に座りながら四季はそう呟いた。定期的に花魁坂の脈を確認しながら。
白衣を着た保健医は屏風ヶ浦と言うらしい。担任の一ノ瀬先生と同期だと簡単に紹介された。
眠気で揺蕩うような意識の中、並木度は優しそうな声を聞いた。
「しっかり寝て、良くなれよ」
2人が眠りについたことを確認した後で屏風ヶ浦に感謝を伝える。
煩わしい眼鏡は畳んで机の上に置いておく。
「ありがとな」
「いえいえ、全然自分なんか、ほぼほぼ四季君がやってたじゃないですか」
「良いの良いの、俺が屏風ヶ浦に伝えたかったんだよ」
学生時代と変わらない元気な笑顔で屏風ヶ浦に笑った。
自分の傷は大したことないし、どうせ鬼神の力で治るから生徒を優先してくれと四季は言った。
優しい。
きっと彼らには気付いていないし届いてもいない不器用な四季の優しさに屏風ヶ浦は微笑んだ。
シャワーで濡れた髪をタオルで拭きながら、廊下の見回りをしている四季。
誰もいない教室入り教壇前で蹲る。
「あぁ………俺めっちゃ嫌な奴だよなぁ…」
「態度も愛想も悪いし…」
「初日だけど、絶対嫌われてんだろぉ…」
思ったままに口に出しながら一部が欠けた耳の縁を撫でる。
若者が経験する必要がない戦争に四季は向かわせなければならない。手を血で染めさせなければならない。
ならば一時の学生としての時間を守ってあげたい。
それこそ自分という生徒が忌み嫌う存在を明確化させれば自然と生徒同士は協力しようと距離感を詰め始める。
それで良いのだ。
存分に俺を嫌ってくれ。
目の敵にしてくれ。
君たち生徒が今一時だけでも平和でいられるのならば…。
「強くなってもらわなきゃ行けないからな…」
「あいつらの為にも…」
しゃがみこんだまま、眼鏡のかけていない視界をズラす。普段はファンデーションで隠している口元の傷にゆっくりと指を這わせる。
「こうなってほしくはないからなぁ」
そう落とした四季の顔は悲しそうな優しい笑顔だった。
「…嘘でしょ」
「優しいどころじゃないですね…」
廊下から覗いている2人に四季は気付かない。四季と入れ違いで大浴場から出てきた並木度と花魁坂は、部屋に戻る途中で忘れ物に気付いて戻ってきた。
取りに戻り、再度帰ろうとしたところで教室から聞こえる声に2人して耳を澄ませていた。
聞こえたのは自分たちに向けられた言葉や行動の真意。
四季の思いは未だ2人しか知らない。
登場人物紹介 (四季君のみ)
一ノ瀬四季 (2?歳)
炎鬼の力は基本生徒に見せないようにしている。生徒の前では怖がられたらいけないからと口の傷と耳の裂傷は極力隠すようにしている。
髪が長いのも隠そうとしているのが半分、もう半分は桃太郎との和平への願い。
眼鏡をしているのは四季の深い紺の瞳と黒子によって桃太郎側にバレないようにする為。
口調や行動が厳しいのは、自分が嫌われようとも生徒が明日を生きるためにしている。
年齢は20代前半から30代後半とさまざまな噂がある。
自分がモテるとは思っていない。煙草は時々吸う。
あとがき
いつの間にかなかなかな文字数になってた…
今すごく眠い…誤字脱字は指摘していただけたなら修正いたします…
これからは短編集みたいな間になると思われます。
イメージ図は桃源暗鬼イラストの方に載せてありますが、趣味嗜好を詰め込んでいるので無理な方はブラウザバック推奨です…