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任務を終え仕事場に戻る道中。
制服姿の高校生たちが、涙を浮かべながら抱き合ったり手を振ったりしていた
「…ああ、卒業式か。」
「もうそんな季節なんですね」
本当に時間が過ぎるのはあっという間だ。もう桜の木が綺麗に見える季節になった。
さっきまで聞いていた銃声が嘘みたいに、穏やかな色だ。
ついこの前は凍えるほどの寒さだったというのに。
「お前の妹も来年だっけか?」
「そうです。まあ、卒業式の前に受験があるので。昨日も、妹がリビングで過去問集に八つ当たりしてました」
「受験か、懐かしいな」
「ええ。そういえば陣内さんの能力ってカンニングしやすいですよね。」
「まあ、やろうと思えば」
「…してませんよね?」
「するわきゃねぇだろ」
「ならいいんですけど」
「ま、ドーパーって、能力によっては簡単にカンニングできそうだよな」
「確かにそうですね」
「それこそ未来予知とかな?」
「…僕の能力は気まぐれですので当てになりませんよ」
そう言って拗ねる才木の様子を見てケラケラと笑う陣内。
「冗談だって」
そんなたわいのない時間を噛み締めながら再び歩き始める。
足元で踏まれた花びらが春の匂いを残していた。
任務帰りの靴で踏むには、少しだけ綺麗すぎる気がした。