テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
任務を終え仕事場に戻る道中。
制服姿の高校生たちが、涙を浮かべながら抱き合ったり手を振ったりしていた
「…ああ、卒業式か。」
「もうそんな季節なんですね」
本当に時間が過ぎるのはあっという間だ。もう桜の木が綺麗に見える季節になった。
さっきまで聞いていた銃声が嘘みたいに、穏やかな色だ。
ついこの前は凍えるほどの寒さだったというのに。
「お前の妹も来年だっけか?」
「そうです。まあ、卒業式の前に受験があるので。昨日も、妹がリビングで過去問集に八つ当たりしてました」
「受験か、懐かしいな」
「ええ。そういえば陣内さんの能力ってカンニングしやすいですよね。」
「まあ、やろうと思えば」
「…してませんよね?」
「するわきゃねぇだろ」
「ならいいんですけど」
「ま、ドーパーって、能力によっては簡単にカンニングできそうだよな」
「確かにそうですね」
「それこそ未来予知とかな?」
「…僕の能力は気まぐれですので当てになりませんよ」
そう言って拗ねる才木の様子を見てケラケラと笑う陣内。
「冗談だって」
そんなたわいのない時間を噛み締めながら再び歩き始める。
足元で踏まれた花びらが春の匂いを残していた。
任務帰りの靴で踏むには、少しだけ綺麗すぎる気がした。
21
4,247
77
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!