5畳沼の底まで

主人公である「川瀬  大輝」が、ある日突然、ダンプカーに撥ねられて死んだ。 彼の魂は死後の世界へと向かうことなく、別の世界へと飛び去ってしまう。 この物語は、 死んでしまった少年の魂が、異世界をさまよう様を描いたものである。…この少年は偶然にも、交通事故からの衝撃により死ぬ直前に、『この世界とは違う世界』へ跳び移っている。…実はその世界は地球という惑星ではなく、全く未知の存在であり、科学では説明できない力が働いているのだ。(それは神と呼ばれる存在なのかもしれない…) そのため、同じ世界にいるはずのない少年が、 どういうわけか、 現代日本で生きているようだ。しかし、少年以外の誰もそのことを気にしていない…というより、気づいてもいないようである。まるで何かの力で見えないようにされているかのように…。 また、その世界は現代日本に似た文明水準を持つものの、  歴史や宗教といった概念が存在していないように見える。 したがって、中世ヨーロッパのような価値観を持っているにもかかわらず、  何故か電気・ガスなどといった近代的な技術レベルを誇っている。魔法らしきものを使っている場面もあるようだが、詳細は不明である…。 そして少年は、事故による後遺症によって、 身体的に不自由を抱えてしまっているため、 自由に外を出歩くことはできない…。 (さらにその少年の身体には特殊な力が備わっており、 そのせいで他人の目に触れることができないので、  彼は学校に行くことすらできず、ずっと自宅にいるのである…。) よって、彼が外出することは滅多になく、家族と連絡を取ることもない。 (しかし、彼には不思議な力があり、 それを使いこなすための能力があったため、 それで生計を立てることはできている模様である。) そして少年は、自分がなぜこんな状態に陥ってしまったのかを知らない…。 自分が何者なのか？  誰が自分をここへ連れてきたのか？ - 第2話 ふたりの関係 - ンと、  「おはよう」  俺が声をかけると彼女はビクッ！っと驚いてしまう。  「あ、あぁ、おはよう…」  彼女はまだ少し怯えている様子だ。 それも仕方ないことかもしれない。俺は彼女に何もしていないし、俺自身に何かをしたわけでもないのだから…。 ただ、彼女のような子を放っておけないからという理由だけで近づいただけなのだが…。『いやな女だね…』「…っ！？」 突然聞こえてきた声にびっくりする彼女を見て、クスッと笑ってしまう