コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「……チーフ!」
思わず声を上げ呼びかけると、
「なんだ、予定ってやっぱり仕事のことかよ。チーフと待ち合わせて、打ち合わせか? おまえって、昔からホント仕事のことばっかりなのな」
元彼が相変わらずの独りよがりな勘ぐりをして、したり顔で話した。
込み上げる悔しさに涙が滲み出しそうになっている私のそばへ、矢代チーフが近づいて来て、「どうかしたのか?」と、いたわるように問いかけた。
「あの……」この状況をとっさにはどう説明したらいいのかわからなくて、口ごもっていると、
「上司さんですよね? 彼女を少しの間だけ借りても構いませんか? ちょっと話があるので」
元彼がまた、強引に私の手を引っ張って行こうとした。
「……やめないか」
すると矢代チーフが低く口にして、怯える私の肩をスッと傍らへ引き寄せた──。