私、真田萌音。真田家の長女で、気がついたら周りのことにちょっとだけ興味がわいてきた。特に、最近の家の雰囲気はちょっと変わった気がする。それって、きっとみんながそれぞれ何かを抱えているからだと思う。
朝、学校に行く前に家のリビングでふと目をこらすと、有紗がスマホを握りしめて、嬉しそうに顔をニヤニヤさせていた。私はあまりにも楽しそうな有紗に思わず声をかけてしまう。
「有紗、何そんなに嬉しそうにしてるの?」
有紗がニコニコしながら、「俊哉からメール来た!」って言うから、つい吹き出しそうになった。
「え、俊哉?」
「そう、俊哉!めっちゃ嬉しい!」有紗が興奮して手を振ってる。なんだかその顔を見ると、あたしも少しだけ嬉しくなっちゃう。
有紗ってこういう時はほんとにかわいらしくて、まるで小学生みたいだなと思う。きっと俊哉のことが気になってしょうがないんだろうな。
その後、家に戻ると、大和が真剣な顔で何かを考えているのが目に入った。私はすぐに気づいたよ。大和、最近ずっと千奈のことを考えてるよね。なんか、あの目つき、ただの「友達」って感じじゃない。すごく深刻そうに悩んでるのがわかる。
「大和、何かあったの?」って聞くと、大和は少し驚いた顔をしてから、「いや、別に…なんでもないし。」って、いつも通りの冷たい反応をした。でも、その目はどう見ても嘘をついてる感じだった。
その時、あたしはなんとなく思った。「もしかして、大和、千奈ちゃんのこと?」
でも、そんなことを言うのもなんだか照れくさいし、今はあまり触れないほうがいいのかなと思って黙っておいた。
そして、リビングに入ると、冬亜が黙々と模試の勉強をしていた。静かに集中している冬亜を見ていると、あたしも何か勉強しないといけない気がしてきたけど、気になったのは冬亜のその表情。
「冬亜、勉強してるの?」って声をかけると、冬亜はちょっと驚いたような顔をして、「うん、模試のために集中してるの。」と言って、またすぐに問題に向き直った。
「すごいね。ちゃんと集中して。」あたしはその言葉に少し感心して、冬亜を見守った。あたしもあんな風に集中して勉強できたらいいのにな、と思うけど、どうしても目の前の誘惑に負けてしまうんだよね。なかなかできないよ、集中して勉強なんて
バイトを終えた美桜が帰ってきた時、なんだかちょっとご機嫌そうだった。「美桜、お疲れ様ー。」って言うと、美桜はにっこり笑って、「うん、お疲れ様!今日はバイト後にちょっとご飯食べてきたんだ。」って言う。
「え、誰と?」って気になったけど、すぐに美桜が「ちょっと友達と。勿論奏斗もいた」って答えてくれたから、それ以上は追及しなかった。美桜も大きくなったし、バイトに行って色々な人と話してるんだろう。気になるけど、あまり詮索しすぎるのもよくないし…。
そして、やっぱ気になるのは、颯真のこと。
最近、私と颯真、ちょっとしたやり取りをしているんだけど、正直言って、どう接したらいいのか全然わからない。私恋愛に鈍感だから、どうしたらいいか悩んでる。
颯真って、普段は優しいけど、何を考えてるのか全然わからない。あたしがどう接すれば、颯真との関係が変わるのか、正直、自分でも全然わからない。
その日、夜に颯真から連絡が来た。なんだかドキドキして、つい顔が赤くなるのを感じた。返信すべきか迷いながら、スマホを手に取るけど、何を書けばいいのか全く思い浮かばない。
「どうしよう…」
迷っていると、ふと、妹たちのことが頭をよぎる。特に有紗。あんなに素直に気持ちを伝えることができる有紗がうらやましくて仕方ない。自分もあんな風にできたらいいのに…。
結局、颯真には普通に返信を送ることにした。自然体でいこうと思って。
「今日はどうだった?忙しかった?」そんな簡単な一言だけど、これがあたしの精一杯。これ以上?無理です。。。
でも、やっぱり、私の心は、どこかで大和と千奈ちやんのこととか、美桜と奏斗さんとか気になっていた。あたしの周りには、いろんな恋の予感があふれている。そして、私もその中に身を置いているんだって、ちょっとだけ実感した。
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