小説キャラクター
砂糖奏音(さとうかのん)
⇨小学生になったばかりの女子。甘い物が大好きで、音楽を聴いたり歌うのも好き。
空乃天志(そらのてんし)
⇨中3。奏音の年上の幼馴染だが、卒業式の前日に飛び降り自殺をして死ぬ。
砂糖美歌(さとうみか)
⇨奏音の母。歌うのがとても上手で奏音に並々ならぬ愛情を注いでる。奏音に甘い。
砂糖文夫(さとうふみお)
⇨奏音の父。とても音痴で、母と奏音には嫌われている。娘離れができていない。
莉輪花(りりか)
⇨奏音の友達
愛花(まなか)
⇨奏音の友達
序章
それは、春の卒業式の前日だった。
グシャッ
「?なんか降ってきた。」
「ッ!天にぃーーっ‼︎」
小学生になったばかりの私でも天にぃはもう生きてないとわかるくらいに身体中に滲んだ血と、道路に溢れた血が赤く、鈍く光っていた。いつもはキラキラ輝いていた綺麗な瞳も、墨汁を塗ったくったように黒くて何も映さない虚さがあった。
空乃天志。私の8歳も年上の幼馴染だった。兄のように慕っていたし、人見知りな私が数少ない心を許せる仲の人だった。自殺をするなんて考えられないくらいに、明るくて私とは対照的に友達だってたくさんいた。自殺した理由が誰にも知られないまま天にぃの葬式は行われた。
葬式では、たくさんの人がいたのに居心地の悪いほどの静かさだった。みんな天にぃのことが大好きだったから喋ることもできなかったんだと思う。その後の天にぃを思って開かれた食事会でも、誰かが言ったことに返事をするだけの会話しかなかったし、天にぃの自殺した理由について話す人は誰もいなかった。
家に帰ってからは、ベッドに潜って何も考えないようにしていたのに、そう思えば思うほど天にぃのことが頭をよぎって涙が出てきた。そのあと、自分の顔がわからなくなるくらい激しく泣き腫らして、寝ていると、夢に出てきたのは今日死んだ天にぃだった。なんでこのタイミングで天にぃが…と思っていると、天にぃが不思議なことを言った。
「俺は、奏音のそばにいるから不安な時は俺を心の中で呼んで。」、と。