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翌日。
朝霧湊が教室で友人たちと話している頃、一人の男が職員室を訪れていた。
育成プログラム教官――日下部隼人。
担任教師は椅子を勧める。
「日下部先生、本日はどうされましたか?」
「少し、朝霧湊君についてお聞きしたいことがありまして。」
担任教師は少し驚いた表情を浮かべた。
「朝霧ですか?」
「ええ。」
日下部は静かに頷く。
「彼は普段、どのような生徒ですか?」
担任教師は少し考えてから答えた。
「成績はごく普通です。」
「運動も飛び抜けているわけではありません。」
「ですが……。」
教師は自然と笑みを浮かべる。
「困っている人を放っておけない子ですね。」
「誰かが消しゴムを落とせば拾う。」
「重い荷物を持っていれば運ぶ。」
「掃除の時間でなくても、落ちているゴミを拾う。」
「誰かに言われてやっているわけではありません。」
「昔から、あの子はそういう子なんです。」
日下部は静かに耳を傾けていた。
鼓動感知。
担任教師の鼓動に嘘はない。
教師自身も、それを当たり前のように話していた。
「ありがとうございます。」
日下部は静かに立ち上がった。
「一つ、ご相談があります。」
「はい?」
「朝霧君を、一度育成プログラムへ見学に招きたいと考えています。」
担任教師は目を丸くした。
「朝霧を……ですか?」
「彼は無能力者ですよ?」
「承知しています。」
日下部は静かに答えた。
「だからこそです。」
短い言葉だった。
しかし、その一言には確かな意思が込められていた。
昼休み。
屋上。
「また教官が学校に来てたらしいぞ。」
輝羅が弁当を食べながら言う。
「そうなんだ。」
湊は特に気にした様子もない。
「育成プログラムのことかな?」
小春が首を傾げる。
「多分な。」
輝羅はあっさり答えた。
湊は空を見上げる。
自分には関係のない世界。
そう思っていた。
放課後。
日下部は育成プログラム本部へ戻っていた。
机の上には『育成プログラム選抜候補者一覧』が置かれている。
黒崎 駿斗 炎
天城 楓 風
如月 希 氷
九条 蓮 念力
神童 輝羅 雷
──────────
朝霧 湊 能力:なし
日下部は、その最後の一行を静かに見つめた。
「可能性か……。」
能力では測れない何か。
朝霧湊という少年には、それがある。
日下部は静かに書類を閉じた。
その瞳には、わずかな期待が宿っていた。
第十一話 可能性 完
コメント
1件
おお、第11話読んだぜ!日下部教官が湊を「能力なし」で候補に挙げたのが熱すぎる。「可能性」ってタイトルに全部詰まってるな。担任が「困ってる人を放っておけない子」って言ったシーン、なんかグッときたわ。普通の子がどう化けるか、めっちゃ楽しみだ🔥
#無能力者
鳳蓮荘
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