テラーノベル
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昼休みが終わり、五時間目の授業が始まろうとしていた。
教室の扉が静かに開く。
「朝霧湊君。」
担任教師が教室へ顔を出した。
「はい。」
「少し来てもらえるかな。」
突然呼ばれた湊は首を傾げながら席を立つ。
教室の空気が少しざわついた。
「何だろう?」
「怒られるのかな?」
そんな声が聞こえる。
湊自身にも心当たりはなかった。
職員室へ向かう途中。
担任教師は静かに口を開いた。
「心配しなくていい。」
「悪い話じゃないから。」
「はい……。」
湊はますます理由が分からなかった。
職員室の扉を開ける。
そこには一人の男が立っていた。
育成プログラム教官――日下部隼人。
「朝霧湊君。」
「はい。」
「少し時間をもらえるかな。」
落ち着いた声だった。
湊は静かに頷く。
応接スペースへ移動すると、日下部は一通の封筒を机の上へ置いた。
白い封筒。
中央には国の紋章が印刷されている。
「これは……?」
湊は封筒を見つめる。
「君へ届けに来た。」
日下部は短く答えた。
「私ですか?」
「ああ。」
「どうして……。」
湊は困惑した。
日下部は静かに湊を見つめる。
「私は君を見てきた。」
「人を助ける姿。」
「迷いのない行動。」
「能力では測れないものを、君は持っている。」
湊は言葉を失った。
「ですが、僕は無能力者です。」
日下部は小さく頷く。
「知っている。」
「だから来た。」
静かな職員室。
時計の針だけが時を刻んでいた。
日下部は封筒を湊へ差し出す。
「これは育成プログラムへの招待状だ。」
「返事は急がなくていい。」
「ゆっくり考えてほしい。」
そう言い残し、日下部は席を立った。
教室へ戻る途中。
湊は封筒を大切そうに抱えていた。
「湊くん!」
小春が駆け寄ってくる。
「先生に呼ばれてたけど、大丈夫だった?」
「うん。」
湊は苦笑いを浮かべる。
「えっ?」
封筒に気付いた小春が目を丸くする。
「何それ?」
その時、輝羅も近づいてきた。
「朝霧。」
湊は二人を見つめる。
「これ……育成プログラムからなんだ。」
一瞬、空気が止まった。
「えっ?何で湊くんが?」
小春は驚きを隠せない。
輝羅は封筒を見つめたまま静かに呟く。
「朝霧が……無能力者なのに……。」
少し考え込むように目を閉じる。
「教官は何を見た……?」
その一言だけだった。
放課後。
自宅へ戻った湊は、自室の机に座る。
静かに封筒を見つめる。
「なんで僕なんだろう……。」
ゆっくりと封を開く。
中には一枚の通知書。
そこには大きく書かれていた。
『育成プログラム招待通知』
湊はその文字を静かに見つめる。
能力のない自分に届いた、一通の通知。
それは、まだ誰も知らない未来への第一歩だった。
第十二話 一通の通知 完
コメント
1件
うわあ、第12話読んだよ……!「一通の通知」、タイトルからしてワクワクするし、実際めっちゃ良い話だった。 無能力者の湊に育成プログラムの招待が来るって展開、めちゃくちゃ気になるじゃん。特に日下部教官の「能力では測れないものを君は持っている」って台詞、グッときたわ。湊の中にある“何か”をちゃんと見てくれてる人がいるってのが、読んでてすごく温かい気持ちになった。 小春の驚きと輝羅の「教官は何を見た……?」っていう冷静な反応もすごくキャラ出てて好き。今後の展開、めっちゃ楽しみにしてる🔥
#無能力者
鳳蓮荘
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