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プロローグ
「 許してくれ 」
そんな願いは無慈悲に散ってゆく
「 ばいばい 」
幼子のような言い方で、それでも冷酷な声で囁く彼女が、
顔を歪め、許しを乞うように涙を流していたのを、俺は見逃さなかった。
『_____ ____ _____』
そして俺は眠りについた。
一章
《 母親 》
「いってきまーす」
いつもと同じ朝だった。
「いってらっしゃい!お母さん!」
いつもと変わらない会話、変わらない日常。
良くも悪くも、、変わらない。
『_______ ____』
「え?」
変わるはずがないと、
そう、思っていた。
『浅羽、、、風奈ちゃんかな?、よく聞いてね。』
訳がわからなかった
「え、、、?」
いつもと同じ笑顔で、
いつもと同じ言葉で、
いつもと同じ母で、
いつもと同じ、いつもと変わらない、朝だった。
なのに。
「お母さんが、、自殺、、?」
小学生だった私にとって、この事実をすぐに受け止めるのは困難だった。
後から聞いた話によると、母は会社のオフィスで首吊り自殺をしたらしい。
理由なんてわからなかった。
わかるはずもなかった。
《 不変 》
「あー、、ねむ、」
「えー?ふう今日10時間くらい寝てなかったっけ〜?」
「それでも眠いのー」
私は父方のおばに引き取られた。
、、、、まぁ、父は私が1歳の時に死んだらしいけど。
なんだかんだ不自由もないし、結構楽しい生活を送っている。
死んだ人は戻らない、私は幼いながらにしてそれを理解していた。そのおかげか、母が死んでからも、魘されたり、不安定になったりする事は殆どなかった。
「てかもうすぐふう誕生日じゃん?なんか欲しい物とかないの?」
「うーん、かっこいい奴が良いな、、拳銃とか?」
「フフッなにそれw」
「かっこよくない?」
「まぁ半分冗談だけど」
「本気だったら怖いよw」
誕生日かぁ、お母さんといた時はいつもお菓子とか買って貰ってたっけ。
「お母さんの事思い出すとちょっと悲しい気分になるんだよね。」
「それが普通だよ」
「大丈夫。傷が埋まるまでは、うちがそばに居てあげる。」
ちょっとドキッとしたのは秘密。誰にも言わない。絶対に。
「ありがと。ふう。」
「あ!ケーキ見に行こうよ!」
「特別に奢ってあげる!!」
「私モンブランが良い!」
《 才能 》
「誕生日おめでとうふう!」
「もう11歳だね!」
「うん!」
「ここに来たのが9歳の時だから、えーと、」
「2年か!いやぁ、長い様で短かったねぇ」
「だねぇ、誕生日は?」
「はいはいw」
「あ!銃じゃん!しかも結構本格的、、」
持った瞬間に感じた。
「でしょ?頑張ってみつけたんだから!」
この感覚。
「ありがとね!ゆき!」
“知ってる”。
「一回打ってみる?」
「打つ!」
ー公園ーーー
「じゃあ、あの木に向かって打ってみて?大丈夫!後ろに壁があるから思いっきり打っちゃって!」
バンッッ
「凄い!ちゃんと木に当たってる!」
「楽しい、、ゆき、ゆきも」
「やってみて」
「良いの?やるやる!!!」
「うん」
バンッ
あぁ、懐かしい感覚。
全く覚えが無いはずなのに。
とても懐かしく感じる。
なんならこの景色、情景に、
どこか既視感まで覚えてしまう。
「ッッッなにこれ、、、」
楽しい
「でしょ?」
感じた事のない快感、快楽、この世の全てを手に入れたかのような背徳感、もう戻れない。
「もう、無理。」
「……..」
2人は死んだかのように眠りについた。
勿論死んだ訳ではない。
この小さな2人の体に、これ程のものを与えてしまったら、体が耐えきれなくなるのも必然だろう。
「パチッ」
目覚めたのは5時間後の午後4時頃。
「起きた?」
ゆきは私より先に目が覚めていたらしい。
「うん」
「なんか、もう、どうでも良くなってきちゃった。」
「ねぇ、うちらなら2人でも生きていけるよ。きっと。」
なにもかも投げ捨て、2人の世界へ歩き出す。
邪魔をする者は消せば良い。
そう、全ては2人の為に。
彼女達が求めるものはこの感覚を凪ぐような
『圧倒的絶望』
それだけだ。