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ベランカが案内した場所は、“イーストン邸”という大きな屋敷。ここは、主様と呼ばれる者が住んでおり、ベランカはその主様の従者。
「さぁ、入って。主様はきっと歓迎してくれるわ」
そう言って、ベランカは門を開けた。
「わぁ…」
麗華は思わず声を上げた。本でも、この屋敷の挿絵があり、その時も迫力があったのに、実際に見ると、その何倍も迫力があるのだ。中に入ると廊下があった。
「1階は応接室や食堂、大浴場があるわ。主様がいらっしゃるのは、最上階の玉座の間と呼ばれる部屋よ。あそこは用がない限り入ってはいけないわ」
「…分かりました」
麗華は返事をし、またベランカについていく。
「こっちはボールルーム、向こうは書斎よ」
ベランカは着々と説明していく。案内が終わった頃、男性がやってきた。
「主様がそろそろお見えだ」
そういうと、男性はすぐに去っていった。
(あの人は確か…カイル・マーティンだったよね。やっぱイケメンだなぁ)
カイル・マーティンは、イーストン邸の執事で、黒い短髪に藍色の目が特徴。麗華はそんなことを考えながら、ベランカについていく。
「いい?主様には失礼のないように」
ベランカはそう忠告し、目の前の扉を開ける。ここは大広間と呼ばれていて、目の前に大きなステンドグラスがある。中に入ると、既に数名の従者がいた。
「遅くなったわ。主様は?」
「そろそろだ」
ベランカとカイルが話をしている。麗華は何をしていいのか分からない。
「私たちの真似をして」
ベランカはそういうと、左膝をつき、左手を胸元に当て、右手を後ろにやった。麗華はそのポーズを真似する。しばらくすると、1人の女性が出てきた。
「主様がお見えです」
そういうと、ヒールの音が聞こえてきた。女性は程よく巻かれた黒い髪を下ろし、紫色のドレスをまとい、黒いヒールを履いていた。瞳は紅く、耳は尖っていて、両手に手袋をしていた。
「お前たち、よく集まってくれた。今夜この屋敷のボールルームで舞踏会が行われる。いつも以上に食事や清掃を徹底するように。…ん?見慣れない者がいるな」
主様は麗華の方を見た。
「こちらは麗華といいます。迷いの森にて見つけましたので、こちらに連れて参りました。しばらくこちらに置いておくつもりでございます」
「…いいだろう。しばらく彼女を私の従者にする。では、解散」
そう言うと、主様はメイドと共に去っていった。麗華は主様の従者となった。