テラーノベル
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何故か、黒沢君にご馳走してもらう事になってしまった。
非常に申し訳ない気持ちになってしまったが、此方が食べ始めてみれば、相手は非常にニコニコ。
なんだろう、お兄ちゃんと同じ顔をしている気がするんですが。
どうしてこう、男の人は変な所で驚かせて来るのだろうか。
などと思いつつも、頂いたパフェは……凄く、美味しかったです。
こんな事を言っては何だけど、こういう“子供が喜びそうなデザート”ってちょっと憧れていたのだ。
実家に居た頃は絶対食べられなかったし、お兄ちゃんの所に来てからも“子供っぽい”と思われそうで遠慮していたので。
大満足しながらも、ご馳走様でしたと手を合わせてみると、黒沢君がこれまた物凄くニコニコしているし。
な、なんか凄く恥ずかしいんだが……。
「それで、何か悩んでたみたいだけど。どうしたの? あっ、もちろん無理に聞き出そうとか思ってないから! 俺に話しても良い事だけとかでも、相談してくれたらなって……思って。その、迷惑じゃなければ」
そう言ってから、何やら申し訳ないくらいにアタフタし始めてしまった彼。
いや、それを言うのなら相談させてもう立場の私の方が迷惑かけてそうでアレなのですが。
とはいえ、相手が話を聞いてくれるというのなら……。
「あ、あの……しばらくガンサバお休みするとか言いながら、こんな事を黒沢君に相談するのは……とても、申し訳ないんですけど」
「うん? あれ? 悩んでたのって、ガンサバの事?」
ちょっとだけ驚いた顔をされたけども、相手はそれでそれで? とばかりに身を乗り出して来た。
やっぱり、ゲームの事に関して凄く頼りになる。
「すっごく変な事を言うというか……そんなのある訳無いって、笑われる事を承知の上で、聞くんですけども……」
こんな質問、きっと笑われるに決まってる。
ガンサバに詳しい人でも、銃に詳しい人でも。
私のこれから言おうとしている事など、馬鹿かと言われてしまうのは分かっているのだが……。
「射撃が下手でも当てられる鉄砲って、何か……ありますか? 出来れば、小さめで、ハンドガンに近いサイズ。乗り物とかに乗っていても……その、当たりそうな武器とか……あ、あはは。無い、ですよね、そんなの」
途中から言っていて恥ずかしくなってしまい、最後には自分で情けなく笑ってしまったが。
だってそんなのあったら、誰でも使っている筈だ。
それが無いからこそ皆射撃練習をするし、賞金首はアレだけ特別なんだ。
そんな中に、本当に素人丸出しの私が居るというのが……今更ながら、恥ずかしくなってくるのだが。
「当てるだけ、で良いなら……あるよ?」
「で、ですよね。そんな都合の良い物がある訳……あるんですかっ!?」
思わず、ガタッと席を立ちあがってしまった。
というか大きな声を出してしまい、周囲からの視線が集まる。
慌てて他のお客さん達にペコペコ頭を下げてから、真っ赤な顔でもう一度席に座り直してみると。
「え、えぇとね? 本当に“当てるだけ”、ならね? ちゃんとキルを狙うとか、連射や射撃距離を考えるとまた変わって来るんだけど……想定してる距離とか環境とか、教えてもらって良い?」
「え、え、え? そんな都合の良い武器、本当にあるんですか?」
完全に混乱したままだったけど、とりあえず……。
黒沢君に話せる部分だけ、なるべく想定している環境を詳しく説明してみるのであった。
とにかく当たれば良い、牽制出来れば良い。
そして何より、近づかれない様にする一手が欲しい。
ただ、それだけなのだから。
◆
「お忙しい中、大変申し訳ございません……お仕事、お疲れ様です……」
『夢月ー? 俺、一応お前の“担当サポーター”な? これも仕事の内、気にすんな。固いぞー? んで、どうした』
黒沢君に相談に乗って貰った後、真っすぐ家に帰ってからすぐさま兄に連絡を取った。
モニターに映っているのは、未だ会社のオフィスでお仕事をしている兄の姿。
これだけでも、私に時間を作って貰って申し訳なくなってしまうのだが……。
「6keyで……新しい武器を使っても、よろしいでしょうか……」
『ほぉ? 前から練習してたM4とかじゃなくてか? 今度は何が欲しいんだ?』
という事で、本日教わりながらメモった手帳を開く。
それに目を通しながら。
「“ショットガン”……それも、ソードオフ? っていう、小さいヤツが欲しいなぁと、思いまして。それで、えっと……ショットシェル? という物の種類が……あと、銃の名称がですね――」
もはや、教えられた事をそのまま読み上げているだけ。
これに対し、兄はフムフムと頷きながらもキーボードを弄って行き。
『うしっ、OK。6keyのアカウントに送っておいたぞ』
「え、良いの!? というか、そんな簡単に!?」
『今回は別に限定モデルとかじゃないしな。各賞金首にそれぞれイメージが刷り込まれて来た頃合いだろうけど、別に他の武器を使っちゃ不味いってルールは無い。ゲーム内の実装されている武器なら、全く問題無いぞ? フルカスタムの、しかもイカれた数字の武器をポンポン出せって言われると困るがな? レアドロップ系のも、際限なくって訳じゃないけど、一応使って問題無いぞ?』
だそうで、早速私のアカウントに新しい武器を送ってくれた様だ。
わ、わぁ……凄くあっさりだぁ。
相談した側が唖然としてしまう状況になったが、このまま射撃訓練にも付き合ってくれるらしく。
賞金首チームの練習時間までは、兄が監督してくれるとまで言ってくれた。
す、すごい……まるでプロのプレイヤーにでもなった気分だ。
これが運営を仲間に付けている権力なのかと放心しつつ、言われるがままログインしてみると。
目の前には、いつもの射撃場が広がっていた。
『誰かに聞いたのか、それとも自分で調べたのかは分からないが。とりあえず、最初から説明していくぞ?』
「お、お願いします!」
そんな訳で、早速練習開始。
付け焼刃も良い所ではあるのだが、それでも今のままじゃ不味い事だけは分かる。
だからこそ、少しでも私の手札を増やしておきたい所……という気持ちで、藁にも縋る思いだったのだが。
「え……普通に当たった」
緊張しながら撃った、一発目。
正面にあった的からは、いくつもヒット判定が。
ショットガンに使う弾は、散弾。
一回打つだけで、細かい弾が一気に正面に噴射されるらしいが……え、凄い。
もちろん反動も凄いけど、6keyのアバターならちゃんと押さえる事が出来た。
『中に詰まった弾の大きさも色々で、用途によって変える状態だ。“とにかく当てる”だけなら、確かに扱いやすい。但し文字通り“散弾”だから、一つ一つが小さい。近距離ならかなりの威力を叩き出すけど、離れればそもそも当たるか分からん。発射される“中の弾”の大きさを変える事で、何を撃つのか、どう使うのかってのが変わって来る。あとは何と言っても……』
「装填出来る弾数と、リロード時間……こればっかりは、とにかく“慣れ”が必要なんだね」
『その通り。他の銃と違って、バカスカ撃てない。だが散弾を使えば“適当に銃口を向けるだけ”でも、当たる事には当たる。が、“仕留める”となると色々と環境と準備を整える必要があるって事だ』
ショットガンの弾……ショットシェルは、とにかくでっかい。
しかも私が今持っている銃には、マガジンが無いのだ。
銃の真ん中部分からバコッて大胆に折れて、バレルに直接でっかい弾を突っ込む感じ。
しかも、総弾数なんか二発しかない。
だからこそ、ベルトに一発ずつでっかい弾を差しておいて持ち運ぶという。
ある意味カウボーイみたいな見た目になってしまうけど。
もっと新しいヤツならもう少し弾が入ったり、マガジンとかが入るのも有ったりするみたいだが。
私が必要以上に小型を求めた結果がコレ。
可能な限り6keyのハンドガンスタイルのまま、取り回しの良い“オマケ”とも言えるサブ武装。
これだけで戦えと言われたら、ちょっと厳しいかもしれないけど。
普段はハンドガンで、コッチは牽制に使うだけなら……十分過ぎるかもしれない。
「皆との練習時間まで、コレ使って練習して良い!? 出来れば、どこかのステージで!」
『おう、良いぞー。必要な事だけ教えたら、俺はいつもの仕事に戻るけど……集中し過ぎて、賞金首チームの練習すっぽかすなよ?』
「今からアラーム付けておく!」
『よろしい。んじゃまずは――』
そんな訳でいくつかのショットシェルを用意してもらい、専用のガンベルトも用意してもらった。
これ等の端から使って、一番使いやすい物を徹底的に練習する事に決めた。
皆が集まるまでの時間で、どうにか軽くでも扱える様にしておかないと……。
いきなり上手くはなれないから、本当にオマケ程度。
追加で装備する手榴弾とかみたいに、“ついで”に持ち運ぶ感覚に近いけど。
けどコレがある程度扱える様になれば……それこそ、戦術の幅が広がるかもしれないのだ。
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