「太……宰…?」
「?」
俺は確かにあの時、確実に死んだ筈だ
彼奴も……
だが、俺は生きている、訳の分からない金持ちの子供として……
それは太宰も同じようだった
ただ一つを除いて
「おい、お前太宰だろ」
「……」
「おい」
「はぁ……さっきから何なの?君」
「だから手前太宰だろ?」
「……そうだけど……」
「やっぱりな……」
「なんできみは、僕のことを知っているんだい?」
「あぁ?変な冗談はよせ」
「君こそ変な冗談はよしてくれ」
「それより、なんで手前も俺も昔みたいな姿になってんだ?」
「……何を言っているのか分からないのだけど……」
「は?手前は俺と同じ22だろ?この姿、まるで15に戻ったみてぇだろ」
「???私は元から15なのだけど?」
「…………は?」
どうやら、俺は転生したのか?……
前の記憶を持って……
太宰の方は俺を知らないし、前の記憶は残ってない……
これはチャンスじゃないのか?
こいつは前の記憶を持ってない、なら自殺して死ぬなんてことは無い筈だ
なら……
「おい、俺が手前を楽しませてやる!」
「は?」
こいつは前の世界ではこん時から自殺願望持ってたからな……
俺がこいつを楽しませてれば少なくとも暇で死にたいとはならない筈だ
「てことで、来い!!」
「あ、ちょっと!!」
「……嘘だろ」
結果を言うと……
太宰は死んだ……
22歳、前の世界と同じ日に
「くそっ……んでだよ……」
死因は首吊り自殺
俺は太宰の親から1枚の手紙を貰った……
その中身は……
中原中也様へ
やっほー!中也、君がこの手紙を見ているということは、無事に自殺に成功したようだね。
15のあの日、君は、私を楽しませると言った、実際君と居た時間は意外にも楽しかったよ?
でも、私はこの下らなく詰まらない世界から、早く解放されたかったのだよ……
ごめんね、中也……
こんな形で、君との約束を破ってしまって
あの世で会えたら、また楽しませておくれ!
それじゃあ…グッド・バイ!
太宰治
「……んだよこれ」
俺は手紙をくしゃりと握るとそのまま川辺に行き、飛び込んだ……
次は手前を死なせねぇ……
ループ1回目……失敗
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