テラーノベル
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「……なに、一人で片づけてんの」
振り向くと、悠真が皿を数枚抱えて立っていた。
驚きで手が止まり、咲は思わず視線を落とす。
「べ、別に……慣れてますから」
「だからって、任せっぱなしは悪いだろ」
悠真は当たり前のように隣に立ち、シンクに皿を並べ始める。
その仕草が自然すぎて、咲の胸はまた高鳴った。
――どうして。
どうしてそんなふうに、さりげなく優しくしないでほしい。
水の音にまぎれて、小さく「ありがとうございます」と呟いた声は、彼に届いただろうか。
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