コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
バレンタインの日の忍術学園。 廊下を歩く食満留三郎の前に、 潮江文次郎が現れた。
文次郎「おい留三郎!!」
留三郎「なんだ文次郎!!また喧嘩するか?」
文次郎「する……と言いたいところだが…」
留三郎「なんだその歯切れの悪い言い方は。らし
くないじゃないか。」
文次郎は少し間を置き、 懐から小さな包みを取り出した。
文次郎「今日はバレンタインだろう、チョコだ受け取れ。」
留三郎「俺にチョコ…? 毒でも仕込んであるのか?」
文次郎「失礼な。 そんな卑怯な真似はせん。」
留三郎「疑うなって方が無理だろう。お前が素直にチョコを渡すなんてな。」
文次郎「勘違いするなよ、チョコを学園のみんなに配ってるから仕方なくお前にもやっただけだ!」
留三郎「ふん、相変わらず素直じゃない奴だな。」
留三郎は包みを受け取ると、 まじまじと見つめ
た。
留三郎「これ、文次郎が作ったのか?」
文次郎「当たり前だ。 誰が作ったと思っているんだ。」
留三郎「お前が普通に料理するなんて珍しいな。」
文次郎「普通…?まあ俺だって料理する。それより、さっさと受け取れ。忙しいんだ」
留三郎「はいはい。ありがとうな、 文次郎。」
留三郎はにやりと笑った。 その笑顔に、文次郎
は少しだけ動揺した。
文次郎「な、なんだその顔は。気持ち悪い。」
留三郎「別に。ただ、お前が作ったチョコを貰えるなんて、思ってもみなかったからな。」
潮江「何度も言うが、 勘違いするな。 義理だ、義理。」
食満「分かってるって。 期待なんかしないさ。」
そう言いながらも留三郎の目はどこか嬉しそうだった。文次郎はそっぽを向いた
ならいい。 用は済んだからな、俺は行く
ぞ。
留三郎「ああ、またな文次郎。」
文次郎は足早に去っていった。 留三郎はその後ろ姿を見送り、包みを開けた。中には少し歪な形のチョコレートが入っていた。手作り感満載のチョコを見て、留三郎は再び笑みを浮かべた。
留三郎「さて、味はどうかな。まあ期待はしないが…」
留三郎はチョコを一口食べた。 少し苦くて、少し甘かった。
その日の午後、留三郎は文次郎を探し回った。
やっと見つけた文次郎は、いつものように算盤を叩いていた。
留三郎「文次郎、ちょっといいか?」
文次郎「なんだ、文句でもあるのか?」
留三郎「いや、文句じゃない。礼を言いたくてな」
文次郎「礼?なんの礼だ。」
留三郎「さっき貰ったチョコ……美味かった。ありがとう」
文次郎は一瞬言葉を失った。そして照れ隠しのようにそっぽを向いた
文次郎「別に、お前に美味いと言われたくて作ったわけじゃない」
留三郎「分かってる。でも本当に美味しかったんだ。お前の気持ちがこもってる気がして」
文次郎は顔を赤くした、そして小さな声で呟いた
文次郎「……そうか。」
留三郎「まあ。仕方ないから俺もホワイトデーの日になにか返してやる」
文次郎「なんでお前は上から目線なんだ…」
留三郎「別にいいだろ。まあ、期待はするなよ」
文次郎「いや、期待しておく。変なやつ作ったら容赦しないからな」
留三郎「はぁ……わかったわかった。仕方ないから作ってやるよ」
文次郎「だからなんで上から目線なんだ。腹立つな」
留三郎「なんだ喧嘩するか??」
文次郎「お前のそういう子供っぽいことに付き合いたくはないが……どうしてもって言うならしてやってもいい」
留三郎「なんだと!?子供っぽいのはお前だろう!!」
文次郎「なんだとぉ!?お前だろ!!」
留三郎「あぁ!?!?もういいこうなったら勝負だ!!!」
文次郎「よーし絶対俺が勝つ!!」
留三郎「俺に決まってるだろ!!!」
〜終〜