※mob視点
新学期、不安なこともあったけど、
俺は今すごく毎日が楽しみだ。
だって、
隣の席の人がものすごく可愛かったから!
鬼灯ひよこさん。
俺みたいなのにも普通に話しかけてくれる、
かわいい系のギャルだ。
「名前なんていうの?
あ、うちは鬼灯雛っていいます〜!」
「はるとくんって言うんだ!
隣の席同士仲良くやってこうね〜♡」
昨日の会話を思い出してニヤニヤする。
ていうかこれ、俺に気あるんじゃね?
鬼灯さんスタイルもいいし、付き合いたいな。
俺歯にのりとか付いてないよな?
スマホの内カメで確認してから教室に入る。
あっ、鬼灯さんいる。
「お、おはよう鬼灯さん」
「はるとくんだ!おっは〜」
うわっかわいい…
俺は鼻の下を伸ばしながら席につく。
毎日幸せすぎんだろこれ…
てかこれ、漫画でよくあるやつじゃんっ
「あの、鬼灯さ」
話しかけようとして横を向くと、
長髪の男が鬼灯さんの前に立っていた。
「うわっ!?」
何こいつ?え?
「勘違いしないでくださいね。
雛は俺らのなんで」
「えっ?…あの、き、昨日会ったばっかりじゃないんですか…?」
なんだこのこじらせ男…!
鬼灯さんのストーカーか?
「そ、そういうの、やめたほうがいいと思いますよ..」
「やめたほうがいいって、何様なんですか?」
「ちょっとショウくん…」
え、ショウくん?
もしかしてこの人ほんとに彼氏?
「俺らはラブなんですよ、だから邪魔しないでもらえますか?」
「違うから!変なこと言わないでっ」
どっちだ??
この人が勘違いして拗らせてるのか?
それとも鬼灯さんの照れ隠し??
「えっ、つ、付き合ってるの?」
「ほんとにそういうんじゃないの!!
ショウくん落ち着いて!」
あ、この人が拗らせてるパターンだ。
「勘違いしてるって、あ、あなたがじゃないですか…。付き合ってないんでしょ?」
「はぁ?
言っとくけど、俺ら同じ家に住んでるんで」
「……ゑ?」
「ちょっとショウくん!!」
ショウくんが隣の席の男の子に爆弾発言をぶちかました。
「ちょっ、これ違うから!
この人の頭がおかしいだけ!!
違うよね??」
あわてて否定する。
「え?なんでコイツのこと庇うの?
てか、事実を言っただけじゃん」
「そ、そうじゃなくて、さすがにマズいでしょそれ!ライン超え!!」
新学期、まさか4人とクラスが被るとは思ってなかったんだ。
まあでも2クラスしかないし、当たり前と言えば当たり前なんだけど。
ロウくん、ショウくん、ライくん、カゲツくん。
ちょうど西館に部屋がある4人だ。
「雛はこいつに構いすぎなんだよ。
そんなに対応したら勘違いしちゃうだろ」
「いやっ、誰がぶりっ子ギャルやれって言ったの」
「俺じゃないですけど」
「う〜っ、とにかく!
一緒に住んでるのはさすがに内緒にしてほしいから…おねがいっ」
目をうるうるさせる。
「かわいいっ…」
ショウくんはおでこをおさえる。
「まあ雛がそんなに言うなら…」
「ちょっ、ちょっと待って、どういう関係なんですか?」
はるとくんが言う。
「ごめん!!内緒で…」
そう言って、口の前に人差し指を立てる。
「それかわいいから他人にやっちゃだめ」
「ショウくんうるさい!なんもできないじゃんかぁ」
「かわいいんだからしょうがない」
昼休み。
緊急会議と称して屋上に集められた。
「雛がぶりっ子やると可愛すぎてモテちゃうと思います」
「あーさすがに可愛すぎたか…」
なにこの会議。
「隣の席の奴なんかさ、鼻の下伸ばしてさ…
てか絶対エロい目で見てたよ雛のこと」
「あぁはいはい」
もー頭いたい…
さっきは結局、なぜか隣の席の人とカゲツくんが席を交換することになった。
だから今隣の席はカゲツくんだ。
ちょっと流石にガード硬すぎるんだけど…
「じゃあうちはどうしたらいいんですかー」
「男と関わらない」
「…」
意味わかんない。
はーなんだこれぇ…
「てか、俺らがクラス別れたんはほんまに何?寂しすぎて死ぬとこやったわ」
マナくんがため息をついて言う。
だったらわたしが中学生の時とっくに死んでる。
「いや、ずっと一緒にいると飽きるって言うじゃないですか。だから得してる」
ショウくんが得意げに言う。
「あっ、そうかも。今4人の顔見たらなんか久しぶりに感じた」
「ならええか」
「寂しかったら僕がぎゅーしてあげるよ?」
「今は遠慮しとく」
「で、本題は?どうすんねん」
「モテすぎちゃう問題?」
「俺らが常にガードするしかない」
「あのそれ、うちがいないとこでやってくんないかな?」
「いや、本人にも自覚を持ってもらわないと」
…。
あっ、おもいついた。
「誰かが彼氏役になったらさすがに男子も寄ってこないでしょ」
…。
え、なにこの沈黙。
「それを言っちゃうか…」
「え、ひよちゃんはいいの?」
「うん、べつにいいよ?」
「よし、今から殺し合いするぞ」
えっ、どういうこと!?
物騒すぎるんだけど!!
「生き残ったやつが雛の彼氏ってわけか」
「ちょっ!みんなそんなに彼氏役やりたかったの!?」
「当たり前でしょ」
「うーん…じゃあ、1週間交代は?」
「そしたら雛がビッチになっちゃう」
「言葉わるすぎ…!
でも、悪い印象つけたほうがいいんでしょ?」
「うーん…さすがにひよちゃんのことをそんなに悪者にするのは気が引けるっていうか」
テツくん…🥺
「1週間か…。3日にしてくれるなら乗った」
ロウくん?
「じゃあテツ以外彼氏役でいいかー?」
「ちょっ!!ちょっと待ってよ!!」
「ん?なんだよ」
「僕も彼氏にはなりたい」
「だよなぁ?」
「3日交代がいいのはなんでや。
ひよと一緒にいる期間減るやん」
「他のやつが彼氏をやってる期間がさすがにウザすぎるだろ」
「あぁそれはそうだ」
わたしがいないとこで勝手に話進めやがって…
「わたしも話入れて!
最初はテツくんでいい?」
「「「「「「えっ???」」」」」」
「いやそれは決めちゃだめだろ」
「そこだけは俺らに決定権あるから」
「ないですーっ!
わたしはテツくんって決めた〜」
「2番目!2番目は?」
「ん〜じゃあカゲツくん」
「はぁ!?なんでだよ」
「え待って最後は?最後だれ?」
「ロウくん」
「はぁ?俺かよ」
「最後から2番目はショウくんで3番目はウェンくん!あとは好きに決めていいよ」
「俺ら同レベかよ…」
「なんで俺最後から2番目なの!?
朝守ってあげたのに!」
「なんとなく。てか守られてないもん」
「えっ…あのさ、俺が最初でいいの?」
「うん、優しいから」
「うわっ、俺らも優しくなろっ…」
「…ていうかそんなに彼氏役やりたいのはなんで?」
「えっ??」
「わかんないの?それ」
「流石に察せるだろ」
「えー…察しなきゃいけないの」
まったくみんな過保護だなぁ。
…ていうか当たり前のことを忘れてた。
みんなってわたしと年齢同じだったんだ…
しかも当たり前に高校受かってるし。
みんなバカなところあるのに。
(これは都合上。
ではなくお父様のお金が動いています)
こういうこともあるんだなぁ…