そうと知ってか知らずか、朝、教室の前でリョータが待ち構えていて、誰もいない空き教室に連れ込まれた。
「ごめん」
「謝るな」
まず謝った僕に対して、リョータは怒ってないとオーバーにジェスチャーで表現して見せた。
「おれだって鬼じゃない。自殺しようとしたやつを責めたりしねえよ」
「でも……」
「聞いたぜ。女神に告白して断られたショックでパニックを起こして、校舎の屋上からとっさに飛び降りちまったんだってな。外見通り優しかった女神は夏梅の命を救うためならと夏梅との交際を承諾。正直もやもやする気持ちはあるが、おれが女神を好きだったと言っても振られて自殺するほどじゃない。夏梅もそんなに女神が好きだったなら言ってくれればよかったんだ。おれと女神との仲を取り持ってくれなんて無理なお願いして、おれの方こそ済まなかったよ。おれは女神のことはキッパリあきらめた。これからは夏梅の恋を全力で応援すると約束する。いろいろあったが、おれたちはこれからも友だちということでいいよな?」
「ありがとう。そう言ってもらえて正直ホッとした」
「あんまり悩むな。もう早まったことはするなよ」
「う、うん……」
リョータはひらひらと手を振りながら空き教室を出ていった。一つ問題が解決した。さあ、次は彼女の番だ――
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