「あ、ヒナさん」
「あら、ジェイデン。久しぶりね」
振り返ると、スモーカーさんやクロコダイルとは違う煙草の香りが鼻腔をくすぐる。でもヒナさんは俺が来ると必ず煙草の火を消してくれる。その辺は相変わらず優しい。
「また書類仕事手伝ってくれるの? ありがとう」
「いえ、俺がやりたくてやってることなので……あと4年もここを開けてしまった罰もあるので……」
「4年間って……そんなに長いことここにいなかったのね……。ヒナ驚愕」
「そうなんですよ。俺も結構びっくりしてます」
俺は苦笑しながら言う。ヒナさんがふっと笑って俺の頬をつつく。
「んむ、ヒナさん?」
「ふふっ、可愛いわね。スモーカー君が可愛がるのもわかるわ。ヒナ納得」
そう言って俺の頭を撫でる。ヒナさんってスモーカーさんと同期なんだっけ?仲良いのかな。原作では何回か会話している場面あったけど…。
「ヒナさん、お仕事ですか? 書類整理なら俺、手伝いますよ」
「いいえ、大丈夫よ。今は報告書を提出しに行くところだから、わたくし自身が行かないと」
「そうでしたか……お疲れ様です」
「じゃあ、そろそろ行くわね」
ひらりと手を振ってヒナさんは去っていった。やっぱりヒナさん、美人だよなぁ……憧れの女性像って感じだなぁ。男だからわかんないけど。
さて、俺も頑張ろう。書類抱えて、俺は資料室の方へと向かった。
資料の片づけのために、資料室に足を運んだ時だった。扉を開けるなり、資料がバサバサと落ちる音が聞こえた。誰かいるのかと思って、音の方に目を向けるとそこにはスモーカーさんの部下であるたしぎちゃんがいた。
「た、たしぎちゃん? 大丈夫?」
「ジェイデンさん!? だっ、大丈夫です!」
床には散らばった紙と、転んでしまったらしいたしぎちゃん。俺よりも慌てるたしぎちゃんに、思わず笑いそうになってしまった。
慌てて駆け寄って落ちたものを拾う。
「高いところにある資料を取ろうとして、バランス崩してしまったんです……」
「台なかったの?」
「はい…」
「たしぎちゃん、身長高い方なのにね」
たしぎちゃんは女性にしてはかなり背が高い部類に入ると思う。まあ、2メートル、3メートルがざらにいるこの世界では低い方になっちゃうけど……。
落ちた資料を拾い集める。ふと、たしぎちゃんが持っていたファイルが目に付いた。たしかあれは、海賊の手配書がまとめらていたものだったはず。俺はたしぎちゃんが持っているファイルに手を伸ばす。
「何探してたの?」
「スモーカーさんに頼まれた書類と、あと、手配書です。麦わらの一味の」
「麦わら……。この間ローグタウンに現れた海賊?」
「はい。そこで出会ったロロノア・ゾロという剣士の手配書を探していたんですが、まだなくて…」
あ~……ちょっとした因縁持ちだもんね……。ゾロはたしぎが死んだ幼馴染に似すぎていて、動揺してて……。そんで、たしぎちゃんはゾロの持ってる名刀が悪党に渡っているのが許せないんだったか?相変わらず真面目だよなぁ。
「まだ海に出たばかりのルーキーだからなぁ……悪名が広がっていけば、自然と賞金首になるけど……」
現時点で賞金首なのはルフィだけだっけ?アラバスタでクロコダイルを倒してからゾロの首に賞金が懸けられたんだっけ。
「でも、もうすぐ懸かるんじゃない?」
「どうしてですか?」
「ほら、彼らグランドラインに入ったんでしょ? ローグタウンであんなことをした彼らが大人しくしているわけがないし、多分これからいろいろ騒ぎを起こして賞金首になるんじゃないかなーって、予想」
俺の言葉を聞いて、たしぎちゃんは納得したような顔をする。俺は原作のストーリーを知っているからそう言えるだけで、何も知らない人からすればただの憶測に過ぎないんだけどね。
とりあえず、俺は落ちている資料を全部集めて、棚に戻していく。
「スモーカーさんから頼まれた資料って、どんなの? 探すよ」
「あ、それはもう見つかっています」
「そっか。なら早くスモーカーさんのところに持っていった方がいいんじゃない? ローグタウン支部にも戻らなきゃでしょ?」
「はいっ! ありがとうございます! ジェイデンさん!」
ぱたぱたと、資料室を出ていくたしぎちゃんを見送る。相変わらず元気いっぱいだなぁ……。
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